2025年3月28日(現地27日)、MLBは東京シリーズに続いて2025年シーズンが米国本土で開幕した。日本野球界は、この30年で世界最高のプロリーグであるMLBに挑戦する日本人選手を数多く生み出してきた。その中には野茂英雄、イチロー、大谷翔平といった、それまでの想像を遥かに超えるような選手も含まれる。
ここでは、歴代日本人メジャーリーガーを一覧でまとめるとともに、その歴史について振り返る。
歴代日本人メジャーリーガー一覧
移籍年 | 選手名 | 守備 | 球団 |
---|---|---|---|
1964年 | 村上雅則 | 投手 | サンフランシスコ・ジャイアンツ |
1995年 | 野茂英雄 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
1996年 | マック鈴木 | 投手 | シアトル・マリナーズ |
1997年 | 長谷川滋利 | 投手 | アナハイム・エンゼルス |
1997年 | 柏田貴史 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
1997年 | 伊良部秀輝 | 投手 | ニューヨーク・ヤンキース |
1998年 | 吉井理人 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
1999年 | 木田優夫 | 投手 | デトロイト・タイガース |
1999年 | 大家友和 | 投手 | ボストン・レッドソックス |
2000年 | 佐々木主浩 | 投手 | シアトル・マリナーズ |
2001年 | イチロー | 外野手 | シアトル・マリナーズ |
2001年 | 新庄剛志 | 外野手 | ニューヨーク・メッツ |
2002年 | 野村貴仁 | 投手 | ミルウォーキー・ブリュワーズ |
2002年 | 小宮山悟 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
2002年 | 石井一久 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2002年 | 田口壮 | 外野手 | セントルイス・カージナルス |
2003年 | 松井秀喜 | 外野手 | ニューヨーク・ヤンキース |
2003年* | マイケル中村 | 投手 | ミネソタ・ツインズ |
2004年 | 松井稼頭央 | 内野手 | ニューヨーク・メッツ |
2004年 | 大塚昌則 | 投手 | サンディエゴ・パドレス |
2004年 | 高津臣吾 | 投手 | シカゴ・ホワイトソックス |
2004年 | 多田野数人 | 投手 | クリーブランド・インディアンス |
2005年 | 井口資仁 | 内野手 | シカゴ・ホワイトソックス |
2005年 | 藪恵壹 | 投手 | オークランド・アスレチックス |
2005年 | 中村紀洋 | 内野手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2006年 | 城島健司 | 捕手 | シアトル・マリナーズ |
2006年 | 斎藤隆 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2007年 | 岩村明憲 | 内野手 | タンパベイ・デビルレイズ |
2007年 | 岡島秀樹 | 投手 | ボストン・レッドソックス |
2007年 | 松坂大輔 | 投手 | ボストン・レッドソックス |
2007年 | 井川慶 | 投手 | ニューヨーク・ヤンキース |
2007年 | 桑田真澄 | 投手 | ピッツバーグ・パイレーツ |
2008年 | 福留孝介 | 外野手 | シカゴ・カブス |
2008年 | 福盛和男 | 投手 | テキサス・レンジャーズ |
2008年 | 小林雅英 | 投手 | クリーブランド・インディアンス |
2008年 | 薮田安彦 | 投手 | カンザスシティ・ロイヤルズ |
2008年 | 黒田博樹 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2009年 | 上原浩治 | 投手 | ボルティモア・オリオールズ |
2009年 | 川上憲伸 | 投手 | アトランタ・ブレーブス |
2009年 | 高橋健 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
2009年 | 田澤純一 | 投手 | ボストン・レッドソックス |
2010年 | 高橋尚成 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
2010年 | 五十嵐亮太 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
2011年 | 西岡剛 | 内野手 | ミネソタ・ツインズ |
2011年 | 建山義紀 | 投手 | テキサス・レンジャーズ |
2012年 | ダルビッシュ有 | 投手 | テキサス・レンジャーズ |
2012年 | 青木宣親 | 外野手 | ミルウォーキー・ブリュワーズ |
2012年 | 川崎宗則 | 内野手 | シアトル・マリナーズ |
2012年 | 岩隈久志 | 投手 | シアトル・マリナーズ |
2012年 | 和田毅 | 投手 | ボルティモア・オリオールズ |
2013年 | 藤川球児 | 投手 | シカゴ・カブス |
2013年 | 田中賢介 | 内野手 | サンフランシスコ・ジャイアンツ |
2014年 | 田中将大 | 投手 | ニューヨーク・ヤンキース |
2015年 | 村田透 | 投手 | クリーブランド・インディアンス |
2016年 | 前田健太 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2018年 | 大谷翔平 | 投手 指名打者 | ロサンゼルス・エンゼルス |
2018年 | 平野佳寿 | 投手 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス |
2018年 | 牧田和久 | 投手 | サンディエゴ・パドレス |
2019年 | 菊池雄星 | 投手 | シアトル・マリナーズ |
2020年 | 秋山翔吾 | 外野手 | シンシナティ・レッズ |
2020年 | 筒香嘉智 | 外野手 | タンパベイ・レイズ |
2020年 | 山口俊 | 投手 | トロント・ブルージェイズ |
2021年 | 澤村拓一 | 投手 | ボストン・レッドソックス |
2021年 | 有原航平 | 投手 | テキサス・レンジャーズ |
2022年 | 鈴木誠也 | 外野手 | シカゴ・カブス |
2022年* | 加藤豪将 | 内野手 | トロント・ブルージェイズ |
2023年 | 吉田正尚 | 外野手 | ボストン・レッドソックス |
2023年 | 千賀滉大 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
2023年 | 藤浪晋太郎 | 投手 | オークランド・アスレチックス |
2024年 | 山本由伸 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2024年 | 今永昇太 | 投手 | シカゴ・カブス |
2024年 | 松井裕樹 | 投手 | サンディエゴ・パドレス |
2024年 | 上沢直之 | 投手 | ボストン・レッドソックス |
2025年 | 佐々木朗希 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
2025年 | 菅野智之 | 投手 | ボルティモア・オリオールズ |
2025年 | 小笠原慎之介 | 投手 | ワシントン・ナショナルズ |
2025年 | 青柳晃洋 | 投手 | フィラデルフィア・フィリーズ |
※MLB在籍時に日本国籍を有していると推定される選手を記載。球団はMLB移籍当初の所属。太字は2025年シーズン中のMLB在籍選手(デビュー見込み選手含む)。*付きのマイケル中村、加藤豪将はメジャーデビュー年。
日本人・日本出身選手のMLB挑戦の歴史
①第1号は村上、近代以降のパイオニアは野茂

日本人メジャーリーガーの第1号は、マッシー・ムラカミこと村上雅則だ。1964年当時、プロ入り2年目だった村上は、南海ホークスからサンフランシスコ・ジャイアンツへ留学し、その年の後半にメジャー昇格を果たした。2年間で通算54試合(89.1回)に登板し、5勝1敗、防御率3.41、100奪三振の好成績を残した。村上は、日本人としてだけでなくアジア人としても初のメジャーリーガーとなった。
村上から30年の時を経て、1995年、史上2人目の日本人メジャーリーガーとなったのが野茂英雄(ロサンゼルス・ドジャース)だ。身体を大きく捻って投げる『トルネード投法』を武器に奪三振を量産。MLB移籍1年目にオールスター出場を果たしてシーズン後に新人王に輝くと、MLBキャリアを通じて2度のノーヒットノーランを達成する大活躍を見せた。こうした活躍と後進のMLB挑戦に多大な影響を与えたことから、『日本人メジャーリーガーのパイオニア』と呼ばれることになる。
1990年代後半には、野茂に続いてNPBから長谷川滋利や伊良部秀輝、吉井理人、木田優夫らが次々と海を渡った。1996年にはマック鈴木が、日本のプロ野球を経ずにメジャーリーガーとなった最初の選手となった。
②イチロー、佐々木主浩らが活躍した2000年代

2000年代に入ると、日本を代表するトッププレイヤーたちが続々とメジャーリーグに挑戦する時代となった。
2000年には、横浜ベイスターズからシアトル・マリナーズへ移籍した『ハマの大魔神』こと佐々木主浩がMLBデビューを果たした。日本時代と同様クローザーとして活躍し、野茂以来となる日本人2人目の新人王を受賞。米国でも"DAIMAJIN"(ダイマジン)の愛称で親しまれた。
翌2001年には、オリックス・ブルーウェーブからマリナーズへ移籍したイチローがMLBに活躍の舞台を移す。ポスティングシステムでの移籍は日本人初で、野手としても初の日本人メジャーリーガーとなった。1年目に新人王、首位打者、盗塁王、MVPに輝いたイチローは、そこから10年連続200安打を達成。2004年にはMLBのシーズン最多記録となる262安打を放ち、2016年にはメジャー通算3000安打を達成するなど、数々の金字塔を打ち立てた。
2003年には、読売ジャイアンツ(巨人)の顔であった松井秀喜がニューヨーク・ヤンキースでMLBデビューする。メジャーでも勝負強い打撃と長打力を武器に活躍し、米国でも日本時代と同様に"GODZILLA"(ゴジラ)の愛称で親しまれた。2009年にはアジア人として初めてワールドシリーズMVPを受賞した。
2007年には、ポスティングシステムで西武ライオンズからボストン・レッドソックスへ移籍した『平成の怪物』松坂大輔がMLBのマウンドに立った。譲渡金5111万1111ドル11セント(当時約60億8400万円)という大型契約での移籍となった松坂は、1年目にワールドシリーズ優勝、2年目には18勝という好成績を残した。
③新時代を切り拓いた二刀流・大谷翔平

2010年代に入っても、日本からのMLB挑戦は止まらない。
2012年にはダルビッシュ有が、2014年には田中将大が、2016年には前田健太がMLBデビューを果たし、いずれもチームの信頼を得てローテーション投手として活躍を見せた。
2018年には、北海道日本ハムファイターズからロサンゼルス・エンゼルスへ移籍した二刀流の大谷翔平がMLBデビュー。当時23歳だった大谷は、インターナショナル・ボーナス・プール(通称『25歳ルール』)の対象となり、当初は年俸54万5000ドル(約6213万円/1ドル114円換算)のマイナー契約だった。
当初は、メジャーリーグでの二刀流挑戦に懐疑的な目が向けられていたが、大谷は1年目から投打の両方で実力を発揮する。右肘のトミー・ジョン手術により投手としては離脱した期間もあったが、MLB4年目の2021年にはアメリカン・リーグMVPを受賞、翌2022年には史上初となる規定投球回&規定打席のダブル達成を果たし、さらに2023年には44本塁打でアジア人初の本塁打王に加えて2度目のア・リーグMVPに輝いた。
エンゼルスでMLB史上有数の選手と目される存在にまで上り詰めた大谷は、2023年オフにはスポーツ史上最大とも言われる10年7億ドル(約1015億円/1ドル145円換算)の超大型契約でドジャースへと移籍。まさに新時代を切り拓く活躍を見せ続けている。
2024年シーズン前にはオリックス・バファローズの山本由伸もドジャースと12年総額3億2500万ドル(約465億円/1ドル143円換算)という、投手としては史上最高額の契約を結んだほか、今永昇太、松井裕樹といった、2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で活躍した日本代表・侍ジャパンの選手たちがNPBからMLBへと移籍した。
続く2025年には、千葉ロッテマリーンズから佐々木朗希がドジャースへ移籍したほか、巨人から菅野智之、中日ドラゴンズから小笠原慎之介、阪神タイガースから青柳晃洋と各球団のエース級がそれぞれMLBに挑戦する。
現役日本人MLB選手一覧
2025年シーズンの現役日本人メジャーリーガーは16人だ(マイナー契約含む)。昨季から継続してMLBに所属しているのは、最年長38歳で開幕を迎えるダルビッシュ有、前田健太、大谷翔平ら11名(マイナー契約の藤浪晋太郎を含む)。
また、佐々木朗希、菅野智之、小笠原慎之介、青柳晃洋の4人は、MLBのルーキーとして今季1年目を迎える予定だ。日本の高校から直接アスレチックスとマイナー契約を結んだ森井翔太郎も将来的なMLBデビューを目指すことになる。
今季は全米各地の12球団に日本人選手が所属している。ドジャース(大谷、山本、佐々木)、パドレス(ダルビッシュ、松井)、カブス(鈴木、今永)と、3球団に複数の日本人選手が所属している。
選手名 | P | 球団 |
---|---|---|
ダルビッシュ有 | 投手 | サンディエゴ・パドレス |
前田健太 | 投手 | デトロイト・タイガース |
大谷翔平 | 投手 指名打者 | ロサンゼルス・ドジャース |
菊池雄星 | 投手 | ロサンゼルス・エンゼルス |
鈴木誠也 | 外野手 | シカゴ・カブス |
吉田正尚 | 外野手 | ボストン・レッドソックス |
千賀滉大 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
藤浪晋太郎 | 投手 | シアトル・マリナーズ傘下 |
山本由伸 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
今永昇太 | 投手 | シカゴ・カブス |
松井裕樹 | 投手 | サンディエゴ・パドレス |
佐々木朗希 | 投手 | ロサンゼルス・ドジャース |
菅野智之 | 投手 | ボルティモア・オリオールズ |
小笠原慎之介 | 投手 | ワシントン・ナショナルズ傘下 |
青柳晃洋 | 投手 | フィラデルフィア・フィリーズ傘下 |
森井翔太郎 | 内野手 | アスレチックス傘下 |
※P=ポジション。
米国挑戦もMLB出場はなかった主な選手
日本プロ野球からMLBに挑戦、もしくはNPBを経ずに渡米したものの、メジャーリーグでの出場には至らなかった選手もいる。
2000年代にはG.G.佐藤や入来祐作、2010年代には中島裕之(当時。登録名改名後は中島宏之)など、NPBで実績を残した有力選手がMLB挑戦を表明したものの、惜しくもメジャーリーグでの公式戦出場を果たすことはできなかった。
移籍年 | 選手名 | P | 球団 |
---|---|---|---|
2002年 | G.G.佐藤 | 内野手 | フィラデルフィア・フィリーズ傘下 |
2004年 | 水尾嘉孝 | 投手 | アナハイム・エンゼルス |
2006年 | 森慎二 | 投手 | タンパベイ・デビルレイズ |
2006年 | 入来祐作 | 投手 | ニューヨーク・メッツ |
2013年 | 中島裕之 | 内野手 | オークランド・アスレチックス |
2018年 | 吉川峻平 | 投手 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下 |
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