ローリー・マキロイがついにマスターズの悪夢を克服し、ゴルフ界最大の偉業を達成した。
2011年、メジャー初優勝を狙う21歳のマキロイは、オーガスタ・ナショナル・ゴルフコースでの最終日を4打差の首位で迎えた。しかし、最終ラウンドで完全に崩れ、8オーバーの80を叩き出して15位タイまで順位を落とした。
その悪夢を克服するのに14年もかかるとは、その時点では知る由もなかった。だが、マキロイはついにグリーンジャケットを獲得した。
現地13日(日)に行われたプレーオフで、マキロイはジャスティン・ローズを下し、スリリングな勝利を収めた。
最終ラウンドのマキロイは、13番ホールのウェッジショットを池に入れて一時は首位から陥落し、18番ホールでは優勝を決める10フィート以内のパットを外すなど、最後の最後まで非常に厳しい展開となった。
それでもこの日のマキロイは最後、神々をも驚嘆させるようなアプローチショットでカップに届いたのではと思えるほどホールに近づけ、マスターズ初優勝を確実なものにした
マキロイはこの勝利でついにゴルフ界の「マウント・ラシュモア」に名を連ねた。念願のマスターズ制覇によって、マキロイはマスターズ、全米プロ、全米オープン、全英オープンの4大メジャー大会すべてで優勝したからだ。過去にこの偉業を達成した選手はマキロイ以前にはわずか5人しかいなかった。
ここでは、ゴルフのキャリア・グランドスラムとは、そしてマキロイが新たに仲間入りした伝説的ゴルファーたちをご紹介しよう。
ゴルフのキャリア・グランドスラムと?
ゴルフ界におけるキャリア・グランドスラムとは、ゴルファーが生涯で4つのメジャー大会すべてで優勝することを指す。
メジャー大会で1勝でも挙げることがゴルファーのキャリアにおける最高の栄誉とされるが、4つのメジャー大会すべてで優勝すれば、そのゴルファーはゴルフ界の伝説として確固たる地位を築くことになる。 マキロイは今回マスターズで優勝したことにより、これまでにキャリア・グランドスラムを達成した選手は6人となった。
キャリア・グランドスラム達成者一覧
キャリア・グランドスラムは、ゴルフ界で最も偉大な偉業のひとつとなっている。ほとんどのゴルファーにとって、メジャートーナメントを勝利で締めくくるには、相当な経験を積み、コースと自分のプレーに十分に慣れることが求められる。
以下に紹介するゴルファーたちは、4つの異なるプレッシャーの掛かる大会で、その快挙を少なくとも4回これを達成している。キャリア・グランドスラムを達成したゴルファーと、獲得したメジャー大会の数は以下の通りです(太字はキャリア・グランドスラムを達成した大会)。
ジャック・ニクラウス
『ゴールデン・ベア』の愛称を持ち、『帝王』と称されるニクラウスは、メジャー・トーナメントで18勝を挙げ、史上最高のゴルファーであると広く考えられている。また、18勝に加え、19のメジャー・トーナメントで準優勝した記録も持っている。ニクラウスはPGAツアーで通算73勝をあげている。
- マスターズ:1963年、 1965年、1966年、1972年、1975年、1986年
- 全米プロ:1963年、1971年、1973年、1975年、1980年
- 全米オープン:1962年、1967年、1972年、1980年
- 全英オープン:1966年、1970年、1978年、
タイガー・ウッズ
ウッズは、同時代のアスリートの中でも圧倒的な強さを見せたゴルファーだ。1997年から2019年の間に15のメジャートーナメントで優勝し、PGAツアー通算82勝を誇る。1999年8月から2004年9月(264週連続)、2005年6月から2010年10月(281週連続)には世界ランキング1位を維持し続けた。また、24歳でキャリアグランドスラムを達成した最年少ゴルファーとなっている。
- マスターズ:1997年、2001年、2002年、2005年、2019年
- 全米プロ:1999年、2000年、2006年、2007年
- 全米オープン: 2000年、2002年、2008年
- 全英オープン:2000年、2005年、2006年、

ゲイリー・プレーヤー
『ブラック・ナイト』の愛称を持つ南アフリカ出身のプレーヤーは、そのキャリアで9つのメジャートーナメントで優勝を果たした。1965年に全米オープンで優勝し、アメリカ人以外で初のキャリア・グランドスラムを達成者となった。当時、29歳でグランドスラムを達成したプレーヤーは最年少記録保持者であったが、その後ニクラウス(26歳)、さらにウッズ(24歳)に更新されている。プレイヤーはPGAツアーで通算24勝を挙げている。
- マスターズ:1961年、1974年、1978年
- 全米プロ:1962年、1972年
- 全米オープン:1965年
- 全英オープン:1959年、1968年、1974年
ジーン・サラゼン
サラゼンはメジャートーナメントで7勝、PGAツアーで通算38勝を挙げた、1920年代、1930年代のゴルフ界で世界トップクラスの選手の一人だった。1935年のマスターズでは、通称「世界に響き渡ったショット」と呼ばれる、パー5の15番ホールで235ヤードのストレートショットをホールに直接入れ、ダブルイーグルを達成した。この驚異的なショットを記念して、オーガスタ・ナショナル・ゴルフコースの15番ホールの橋はサラゼンの名を冠している。
- マスターズ:1935年
- 全米プロ:1922年、1923年、1933年
- 全米オープン:1922年、1932年
- 全英オープン:1932年

ベン・ホーガン
ホーガンはゴルフの歴史の中でも最も影響力のある人物の一人とされているが、コースでの彼は遅咲きで、最初のメジャートーナメント制覇は34歳のときだった。ホーガンは最終的に9つのメジャートーナメントで優勝し、プレーヤーと並んで歴代4位タイとなった。PGAツアーでは通算64勝を挙げている。
- マスターズ:1951年、1953年
- 全米プロ:1946年、1948年
- 全米オープン:1948年、1950年、1951年、1953年
- 全英オープン: 1953年
ロリー・マキロイ
マキロイは25歳までに4つのメジャー大会で優勝している。これはニクラウスとウッズだけが成し遂げた偉業だ。また、PGAツアーでは通算28勝を挙げているが、この日曜日までマスターズでの優勝は逃し続けていた。14年間の待ち時間は充分に価値があったと言えるだろう。
- マスターズ:2025年
- 全米プロ:2012年、2014年
- 全米オープン:2011年
- 全英オープン: 2014年

キャリア・グランドスラムまであと1勝の現役ゴルファーは?
キャリア・グランドスラムまであと1勝というところまで来ている現役ゴルファーは2人いる。フィル・ミケルソンとジョーダン・スピースだ。
ミケルソンは、2000年代を代表するゴルファーの一人だが、ウッズと同じ時代に活躍したという不運な経歴を持つ。ミケルソンは、マスターズ(2004年、2006年、2010年)、全米プロ(2005年、2021年)、全英オープン(2013年)で計6勝を挙げているが、全米オープンでは優勝したことがなく、6度の準優勝に終わっている。
スピースは21歳の若さで2015年のマスターズと全米オープンを制し、そのキャリアをスタートさせた。 彼は同じ年に両方のトーナメントを制した6人目のゴルファーとなった。その後、2017年には全英オープンを制したもの、まだ全米プロで勝利を挙げることができていない。
原文:Career grand slams in golf: How Rory McIlroy joined Tiger Woods, other legends with 2025 Masters win
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
本サイトに掲載されているリンクから商品の購入やサービスの契約をされた場合、本サイトが収益を得ることがあります。