NFLドラフトの目玉選手『二刀流』トラビス・ハンターがお手本にすべきはMLBのレジェンド投手グレッグ・マダックス?

Billy Heyen

石山修二 Shuji Ishiyama

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今、全米の誰もが知りたがっているのは、トラビス・ハンター(コロラド大)がNFLでどのポジションをプレイするのかと言うことだろう。

ハンター自身はワイドレシーバーとコーナーバック、攻守両面でプレーできないなら引退すると公言している。

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ただ、コロラド大の時とは異なり、ハンターが文字通りすべてのプレーに出場することはNFLでは考えられていない。おそらくいずれかのポジションでは何らかの形でプレー数に制限を設けることになるのだろう。

現地24日(木)夜に開催される2025年のNFLドラフトで全体2位指名権を持つクリーブランド・ブラウンズはそのことを考えているに違いない。

プレー数を制限することについて、NFLのある関係者は最近、ハンターの目指すべき姿としてMLBアトランタ・ブレーブスの伝説的投手グレッグ・マドックスの名前を挙げた。

スポーツニュースサイト『The Athletic』は、ハンターは今後どうすべきかについてNFLのコーチたちに匿名でコメントを求めた。 すると、あるディフェンシブバックのコーチがハンターの状況をメジャーリーグで一般的に用いられる投球数の制限に当てはめて答えてみせた。

「それは先発投手とクローザーの違いのようなものだ」とそのコーチは語った

 「コーナーバックは先発投手のようなものだ。試合全体を通じて多くのプレーを積み重ねていく必要がある。そうすることで最も効果的にプレーできる。9球で3アウトを取ることを期待されているわけではない。長期戦を戦う必要がある。時にはヒットを許す覚悟も、フォアボールを出す覚悟も必要だ。状況によって粘り強く戦う覚悟が必要になる」

「アウトサイドコーナーをプレイすると言うのはそういうことだ。1試合は長い。相手がどんなルートを使っているか、相手がどんな時に自分を狙ってきているか、感じ取らなくてはいけない。(試合に出て)いきなりその状況を作るのは非常に難しいことだ。グレッグ・マダックスにしえても、 8回に登板して3アウトを取れるような投手ではなかった。彼の天才的なところは、(試合の)全体像を描き出せるところにある。コーナーバックも同じことで、(試合の)全体像を描いていなければいけない」

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ハンターの二刀流での起用に対して、記事に登場した他のコーチたちの反応は意見が分かれている。そんな中、少なくともこのディフェンスコーチは明らかにハンターをフルタイムのディフェンダーとして起用したいと考えているようだ。

確かにディフェンスの局面では、特定のプレーに対応する形で選手を入れ替えする状況はかなり慌ただしいものがある。

その点オフェンスであれば、ハンターが出場する場面を想定して特定のプレーを用意しておくことができるので、数プレーの間フィールドから離れていてもリズムが完全に崩れることはないだろう。

マダックスは、野球史上最も効率的な先発投手の1人だった。マダックスは少ない球数で効率よくアウトを取ることに長けていたため、100球未満で完封勝利をする試合を『マダックス』と呼んでいる程だ。

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おそらくブラウンズになるだろうが、ハンターを指名するチームが期待しているのもまさにこういうことだろう。ハンターが試合状況を把握して効率よくプレイを成功させ、その合間に要所要所で休息を取ってくれればと願っているはずだ。

ハンターが150球を投げる先発完投型のように1試合フルタイムでプレイする必要はない。効率的なプレイで勝利に貢献し、投手が捕手と抱き合うような歓喜の姿を見せてくれればそれで充分なはずだ。

ハンターはどのようにしてNFLで二刀流を実現してみせるつもりなのか、そしてハンターを獲得したチームは彼をどう起用していくのか、2025年シーズン注目の話題となりそうだ。

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原文:Browns' Travis Hunter position choice has MLB Hall of Famer Greg Maddux as NFL Draft comparison 
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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Billy Heyen

Billy Heyen is a freelance writer with The Sporting News. He is a 2019 graduate of Syracuse University who has written about many sports and fantasy sports for The Sporting News. Sports reporting work has also appeared in a number of newspapers, including the Sandusky Register and Rochester Democrat & Chronicle

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。