フェニックス・サンズは4月14日(日本時間15日)、マイク・ブーデンホルザー・ヘッドコーチの解任を発表した。サンズは3シーズン連続で新たな指揮官探しに乗り出すことになった。
オーナーのマット・イシュビアは、2022年末に球団を買収して以降、3人のコーチを解任してきた。モンティ・ウィリアムズ、フランク・ボーゲル、そして今回のブーデンホルザーだ。ボーゲルとブーデンホルザーは、在任わずか1年だった。
サンズが直面しているオフシーズンは、本当に不確実だ。ブラッドリー・ビールは退団がうわささされ、ケビン・デュラントも2月のトレードデッドライン(トレード期限)前に移籍の憶測があった。彼もフレッシュなスタートを切ることになるかもしれない。デビン・ブッカーが残留を望んでも、サンズは優勝候補クラスのチームになるために再建が必要だ。イシュビアにそれだけの忍耐力があるかはまだ分からない。
ここでは、ブーデンホルザーを解任したサンズの次期ヘッドコーチ候補をまとめる。
サンズの次期ヘッドコーチ候補
ウィリー・グリーン
すぐに有力候補としてあがったのがグリーンだ。ただ、ニューオーリンズ・ペリカンズの指揮官でもある。2024-2025シーズンを21勝61敗で終えたペリカンズは、デイビッド・グリフィンを解任した。グリーンの運命は不透明だ。
ペリカンズが指揮官変更に動いた場合、グリーンにはサンズの有力候補となるようなつながりがある。ウィリアムズHCの下でアシスタントコーチを務め、ブッカーと近い関係にあるのだ。そしてイシュビアと同じミシガン州出身でもある。マーク・スタイン記者やジェイク・フィッシャー記者は、ブーデンホルザー解任決定前からグリーンをサンズの指揮官候補としていた。
ペリカンズでの4シーズン目だった今季は不振だったが、2023-2024シーズンにグリーンは49勝をあげている。そして今季はケガという点でも恵まれなかった。グリーンとイシュビアの関係から、サンズではまれな長期政権を託されるかもしれない。フレッシュなスタートが、全員にとって賢明となる可能性はある。
マイケル・マローン
サンズは2年連続で優勝実績のある指揮官を招へいしたが、いずれも1年で解任した。一般的には、再び同じ道に向かうことはないはずだ。だが、イシュビアの下でサンズはこれまでもまったく一般的ではなかった。
マローンは実績のある勝者だ。ニコラ・ヨキッチとともにデンバー・ナゲッツで黄金時代を築くのに尽力し、2023年にNBAファイナルを制している。今季のナゲッツの苦戦は、マローンの失敗以上にロスター編成の結果と思われるが、『Denver Post』は一部選手がマローンのやり方に「うんざりするようになっていた」と報じた。
ナゲッツでカルビン・ブースGMと衝突したマローンだけに、将来が不透明な中でイシュビアやサンズと組むことは、理にかなわないかもしれない。だが、本人が指導に戻りたいと望むのなら、現時点でサンズはトップクラスのオプションだ。
テイラー・ジェンキンズ
マローンと同様、シーズン終盤にメンフィス・グリズリーズに解任され、すぐに新チームでのヘッドコーチ就任候補として名前があがったのがジェンキンズだ。彼は適切な機会を待つ余裕を持てる。見通しが不透明だけに、サンズは良い兆候ではないかもしれない。だが、サンズが彼に関心を寄せても驚きではない。
ジェンキンズはグリズリーズでの約6シーズンで250勝214敗という成績だった。2年連続でチームをウェスタン・カンファレンス第2シードに導いている。2023-24シーズンはケガに悩まされたが、今季は大きな復調を遂げた。
ベッキー・ハモン
デュラントとビールを獲得したり、次々にヘッドコーチを解任したりと、サンズは大胆な手を打つことを恐れない。ハモンのヘッドコーチ招へいも、実現したら勇敢な選択だ。NBA史上初の女性ヘッドコーチ誕生となる。
ハモンの資質を疑うことはできないだろう。WNBAでの長期にわたるキャリアを経て、サンアントニオ・スパーズではグレッグ・ポポビッチHCのアシスタントコーチを7シーズン務めた。その後はラスベガス・エイセズの指揮官としてWNBAに戻り、3シーズンで87勝29敗を記録。この間にエイセズを2度の優勝に導いた。
イシュビア政権のサンズは、リスクを負い、見出しとなることを恐れない。そのメンタリティーはまだ報われていないが、ハモンを新指揮官候補とするかもしれない。
ジャレッド・ダドリー
サンズは外部からボーゲルやブーデンホルザーを招へいしたが、どちらもうまくいかなかった。球団と深いつながりを持つコーチを好み、グリーンが選択肢にならない場合、ダドリーは魅力的な候補となる。
ダドリーは現役時代、サンズに2回にわたり計7シーズン在籍した。そしてここ4シーズンはダラス・マーベリックスでジェイソン・キッドHCのアシスタントコーチとして尊敬されている。今季のフロントオフィスの失敗まで、マーベリックスはキッドHCの下で大きな成果を残しており、昨季はNBAファイナルまで勝ち進んだ。
球団や街と近い関係にあり、優勝の経験を持つ新進気鋭のアシスタントコーチを望むなら、ダドリーはまさにうってつけの人物だろう。
サム・キャセール
22試合だけだが、やはり選手時代にサンズでプレイした経験を持つもうひとりの候補が、NBAで最も評価されているアシスタントコーチのひとりであるキャセールだ。今季でNBAのベンチに座るのは17シーズン目。ロサンゼルス・クリッパーズやフィラデルフィア・76ers、ボストン・セルティックスといった勝者のチームの一員だった。セルティックスでは昨季、ジョー・マズーラHCのスタッフとして、ついに優勝を飾っている。
キャセールはヘッドコーチになるために長い時間待ってきた。そしてサンズ指揮官という仕事は、選り好みする候補者をおののかせるかもしれない。だが、キャセールは喜んで引き受けるだろう。
原文:Mike Budenholzer replacements: 6 Suns coaching candidates to watch, from Willie Green to Michael Malone(抄訳)
翻訳:坂東実藍
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