埼玉西武ライオンズは10月26日(木)のドラフト会議で1位指名の武内夏暉(國學院大)をはじめ、支配下で7名、育成で6名の合計13名を指名した。西武の現戦力と照らし合わせ、今年のドラフトを評価する。
西武の指名選手一覧
1位 | 武内夏暉 | 投手 | 國學院大 |
2位 | 上田大河 | 投手 | 大阪商業大 |
3位 | 杉山遙希 | 投手 | 横浜高 |
4位 | 成田晴風 | 投手 | 弘前工高 |
5位 | 宮澤太成 | 投手 | 徳島インディゴソックス |
6位 | 村田怜音 | 内野手 | 皇学館大 |
7位 | 糸川亮太 | 投手 | ENEOS |
育成1位 | シンクレアジョセフ孝ノ助 | 投手 | 徳島インディゴソックス |
育成2位 | 谷口朝陽 | 内野手 | 徳島インディゴソックス |
育成3位 | 川下将勲 | 投手 | 函館大有斗高 |
育成4位 | 金子功児 | 内野手 | 埼玉武蔵ヒートベアーズ |
育成5位 | 木瀬翔太 | 投手 | 北嵯峨高 |
育成6位 | 奥村光一 | 外野手 | 群馬ダイヤモンドペガサス |
西武のドラフト指名総評:B
西武は1位で武内夏暉(國學院大/投手)の指名に成功。公言通り1巡目で入札し、同じく公言していたソフトバンク、さらにヤクルトとの競合の末に、松井稼頭央監督が当たりくじを引き当てた。武内は185cm90kgの堂々たる体格から最速153キロのストレートにスライダー、カーブ、チェンジアップなどを操る大型左腕。ストレートのキレと抜群のコントロールを武器とする。3年秋には明治神宮大会で準優勝を経験した。
2位の上田大河(大阪商業大/投手)は最速154キロを誇る右の本格派。4年春・秋に5勝ずつを挙げ、2季連続でベストナインを受賞し、通算22勝を挙げた。2年春、3年春・秋、4年春と4度の全国大会に出場し、4年秋もリーグ戦を制している。
3位の杉山遙希(横浜高/投手)は左、4位の成田晴風(弘前工高/投手)は右の高校生投手。5位の宮澤太成(徳島インディゴソックス/投手)、7位の糸川亮太(ENEOS/投手)も投手で、支配下で指名した7名のうち6名が投手。唯一の野手となった6位の村田怜音(皇學館大/内野手)は右の大型スラッガーだ。
育成でも独立リーグ、高校生から6名を指名し、将来への投資としている。
1位の武内、2位の上田はともに侍ジャパン大学代表でもプレーするなど実績充分。西武は今季、平良海馬、髙橋光成、今井達也が二桁勝利をマークしたが、いずれも右腕だ。左腕では隅田知一郎が9勝を挙げたが、そこに続く投手がいなかった。武内には先発ローテーション入りの期待がかかる。一方の上田は先発ローテーション入りはもちろん、大学代表では守護神も務めるなど、救援でも期待できそうだ。
3位の杉山、4位の成田はともに大型の高校生投手ということもあり、即戦力とはいかなそうだ。ただしどちらも高いポテンシャルを秘めており、数年後にはローテーション入りしていてもおかしくない素材だ。
5位の宮澤は北海道大史上初のプロ野球選手。大学在学中に独立リーグ入りし、1年でプロ入りを手にした剛腕だ。奪三振能力が高く、救援なら早くから活躍できる可能性がある。7位の糸川はシンカーを武器とする経験豊富な右腕で、先発・救援で早くから戦力となってくれそうだ。
6位の村田は196cm110kgの大型スラッガー。中村剛也や山川穂高のようなぽっちゃりスラッガーではなく、どちらかと言えばオリックスの杉本裕太郎のようなタイプだ。未来の主砲として期待がかかる。
西武は今季、チーム防御率2.93、総失点465(いずれもリーグ2位)だった一方で、チーム打率.233(同5位)、総得点435(同6位)と、攻撃力に課題があった。さらに規定打席に到達した野手は外崎修汰とマキノンのみ。
森友哉が移籍し、山川穂高が出場停止と想定外の出来事はあった中で、蛭間拓哉や渡部健人らが台頭。穴を埋めるには至らなかったが、来季以降に期待が持てそうな野手も多い。
今回のドラフトでは支配下7名中6名を投手が占めるなど、強みを強化する方針を取った。野手の補強という点ではやや物足りない指名となったが、好投手を多く指名できた成果は来季にも表れてきそうだ。