【MLB】大谷翔平の契約の繰り延べ支払いを解説:ドジャースが6億8000万ドルの支払いを2034年まで保留する理由

Dan Treacy

石山修二 Shuji Ishiyama

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12月9日(日本時間10日)、大谷翔平とドジャースの10年7億ドル(約1015億円。1ドル=145円換算。以下同)の契約が報じられると、野球界に衝撃が走った。そして、週明けの月曜に報じられた続報はさらなる余波をもたらした。

複数のメディアが、大谷の超大型契約には大規模な繰延条項が盛り込まれたことを報じ始めたからだ。ドジャースは、今回の契約を可能な限りコントロールすべく、契約額の大半を契約期間後の支払いに繰り延べていたのだった。

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ドジャースは、MLBでもトップクラスの資金力を持つフランチャイズだ。それでも、MVPを獲得した実績を持つ選手を何人も抱えたチームに、新たに7000万ドルの年俸を追加することは大きな負担となる。そこで、契約額の支払いの大半を将来へと繰り延べることで、贅沢税のペナルティを回避しながらさらなる補強を進められるようにしたという訳だ。

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では、大谷の契約額のうち、どれだけの金額が将来に繰り延べられたのか、その中身を見ていこう。

大谷翔平の繰延額の詳細とその訳

12月11日(日本時間12日)、ウェブメディア「The Athletic」のファビアン・アルダヤ記者が大谷の年俸7000万ドル(約101億5000万円)の契約のうち、6800万(約98億6000万円)が契約期間後に繰り延べられていると報じた。つまり、大谷が10年の契約期間中に受け取るのは年200万ドル(約2億9000万円)だけ、契約終了後の2034年から年6800万ドルを受け取り始める契約になっているということだ。

勘違いやタイプミスではない。ただ、実際の契約はそんなにシンプルでもない。仮に支払いを繰り延べしたとしても、ぜいたく税の対象となる大谷の契約は年200万ではなく、年4600万ドル(約66億7000万ドル)とされている。ドジャースのチーム編成上大きな負担となることは間違いない。

大谷自身は、年200万ドルしか受け取らなかったとしても、広告出演などのエンドースメント契約から多くの収入を得ることができるだろう。一方で、4600万ドルはぜいたく税の基準値(2024年は2億3700万ドル=約343億6500万円)に対してカウントされるのだから、ぜいたく税そのものも、大きなマーケットを持つチームに対して一定の歯止め効果を発揮していると言えるだろう。

全米紙「USA Today」のボブ・ナイチンゲール記者は、ドジャースが柔軟に補強を進められるよう、大谷自身ががこの大胆な方法を望んだと報じている。

では、実際に契約額のどれだけを繰り延べることができるのか、MLBのルールにはなんの規制もない。ESPNのジェフ・パッサン記者もX(元ツイッター)へのポストで、MLBの包括的労働協約(Collective Bargaining Agreement)には、支払いの繰延について書かれた条項があり、そこには限度額はないことを指摘している。稀なケースではあるが、ボビー・ボニーヤ(元メッツ)やマックス・シャーザー(元ナショナルズ、現レンジャーズ)は、既に終了した契約の支払い分をいまだに受け取り続けているのは有名な話だ。

大谷への支払いを繰り延べることで生まれた予算をドジャースがどう使っていくかはこれからだ。このポストシーズンにローテーションの手薄さを露呈してしまっただけに、先発投手の補強に回すのも一案だろう。いずれにせよ、大谷は40代に突入してからも相当裕福なことは間違いなさそうだ。

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大谷翔平の契約の内訳

ドジャースにとっては年4600万ドルがぜいたく税の対象になるとは言え、大谷が2034年まで受け取る額は年200万に過ぎない。以下の表が大谷が2034年までに受け取る額の内訳で、最終的に支払いが終わるのは2043年となっている。

年度 年俸
2024年 200万ドル
2025年 200万ドル
2026年 200万ドル
2027年 200万ドル
2028年 200万ドル
2029年 200万ドル
2030年 200万ドル
2031年 200万ドル
2032年 200万ドル
2033年 200万ドル
2034年 6800万ドル
2035年 6800万ドル
2036年 6800万ドル
2037年 6800万ドル
2038年 6800万ドル
2039年 6800万ドル
2040年 6800万ドル
2041年 6800万ドル
2042年 6800万ドル
2043年 6800万ドル

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Dan Treacy is a content producer for Sporting News, joining in 2022 after graduating from Boston University. He founded @allsportsnews on Instagram in 2012 and has written for Lineups and Yardbarker.

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スポーティングニュース日本版アシスタントエディター