2022年に優勝して以降、ゴールデンステイト・ウォリアーズは明らかに下り坂にあった。
一昨季のウォリアーズはプレイオフのセカンドラウンドでロサンゼルス・レイカーズに敗れた。昨季はプレイオフに進むこともできず、プレイイン・トーナメントで敗退している。
ステフィン・カリーが36歳になり、ウォリアーズは優勝を競うチームではなくなったかのようだった。フロントオフィスはクレイ・トンプソンとクリス・ポールを放出し、大幅なサラリーカットへ。新時代の到来を告げた。
しかし、面白いことが起きた。それによって、もっと強力なグループがつくられたのだ。2024-2025シーズン開幕から10試合、ウォリアーズはウェスタン・カンファレンスでトップタイの成績を残した。
ここでは、ウォリアーズが好調な理由をまとめる。
ウォリアーズが再び優勝を競うチームになった4つの理由
"Strength in Numbers"の復活
ウォリアーズの王朝時代にスティーブ・カー・ヘッドコーチは“Strength in Numbers”( 「数による強さ」=「全員で戦うことの強さ」)と主張していた。もちろん、ウォリアーズにはスター選手たちの力があったのだが、カーHCはロスター全体の貢献が優勝につながると信じていたのである。
近年のウォリアーズにはその戦略を実行するだけの人材がいなかった。だが、今季はそれが完全にそろっている。カーHCはこれまでで最も層の厚いチームと評しており、それはローテーションからも明らかだ。1試合平均の出場時間が30分を超える選手はおらず、13選手が二桁の平均出場時間を記録している。
カリーとドレイモンド・グリーンは健在で、昨季不調だったアンドリュー・ウィギンズとケボン・ルーニーはともに復活。直近のドラフトで指名した選手たちも見事なプレイを見せ、補強も当たった。
バディー・ヒールドがクレイ・トンプソン以上に
ウォリアーズで最もインパクトを残している新戦力は、間違いなくバディー・ヒールドだろう。シックスマン賞の有力候補のひとりだ。ベンチスタートから3ポイントショット成功率48.8%で平均18.0得点をあげている。トンプソンの役割に見事にはまり、昨季のチームに欠けていた喜びをもたらした。
昨季もトンプソンは優れたシューターだったが、やろうとし過ぎで苦しむことがあった。94-118で大敗したプレイイン・トーナメントでは、ショットが10本中0本成功という数字だった。カーHCは難しい状況に陥り、シーズンを通じてスターティングラインナップやクロージングラインナップからトンプソンを外さなければならなかった。
その問題が、ヒールド加入で解消されたのだ。昨季、フィラデルフィア・76ersでフィットできなかったヒールドは、ウォリアーズでベンチからのスタートを受け入れた。以前からずっと強力なスコアラーではあったが、ウォリアーズではその力が解き放たれている。
攻守のスキームをアップデートしたウォリアーズ
新アシスタントコーチのジェリー・スタックハウスによるもっとアグレッシブなスタイルの守備で、昨季のターンオーバー誘発が23位だったウォリアーズは今季6位につけている。1試合あたりのディフレクションは、オクラホマシティ・サンダーに続く2位だ。
ウォリアーズにはボールに対して守れる長さと身体能力を持つ選手たちがいる。ボールスクリーンに2人のディフェンダーをつけることが多く、それによって相手に混乱を引き起こすのだ。ローテーションの仕方を知る賢いベテランたちがおり、筆頭がグリーンだ。ウォリアーズの守備は昨季15位だったが、今季は3位につけている。
また、ウォリアーズは動きを多用する攻撃システムにいくつか新たな趣向も加えた。もうひとりの新アシスタントコーチで、ポートランド・トレイルブレイザーズで長く指揮をとったテリー・ストッツが、デイミアン・リラードやCM・マカーラムの役に立ったブロッカーを動かすアクションをもたらしたのだ。それをカリーとヒールドに用いたウォリアーズは、攻撃が昨季の9位から4位に上昇した。
ステフィン・カリーは健在
新たな選手とコーチによって、ウォリアーズは層を厚くした。ただ、カリーがいなければ何の意味もない。オリンピックの終盤、カリーはまだ世界最高の選手のひとりでいられることを示した。それをNBAレギュラーシーズンでも続けている。
1試合平均22.0得点、6.3アシストと数字は落ちている。だが、それは主に平均出場が28.3分間にとどまっているためだ。今季のカーHCはぜいたくにカリーをより休ませることができている。それにより、カリーは非常に効率的なショットを保つことができているのだ。3P成功率43.5%は2018-2019シーズン以降で最高の数字。先日のサンダー戦で勝負を決める3Pを沈めたように、重要な局面でビッグショットを決めるのは変わらない。
STEPH SAYS NIGHT NIGHT 😴 pic.twitter.com/pH8ooQYmzM
— Warriors on NBCS (@NBCSWarriors) November 11, 2024
カリーは今でも最も危険なシューターなのだ。彼がいるウォリアーズは常に良いチームだった。それが再び素晴らしいチームになったのは、周囲のメンバーに際立っているからだ。カリーが不在でもとりでを守ることができている。足首のケガで欠場した3試合で3勝0敗という成績だった。
先週、ボストン・セルティックスとサンダーの両チームを倒したことが示すように、今のウォリアーズは本物だ。長きにわたってリーグを支配したカリーとトンプソンのチームではない。だが、プレイオフでも本当に活躍できるような新しいバージョンに進化する方法を見つけたのである。
原文:Warriors are contenders again: Four reasons Golden State is back, including Buddy Hield being a better Klay Thompson(抄訳)
翻訳:坂東実藍
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