球速は現代野球において投手を評価するうえで重要な指標だ。とくに救援投手にとっては大きな意味を持つ。今年のポストシーズンでも数多くの速球派投手がファンを魅了するだろう。
レギュラーシーズンで平均球速が時速100マイル(約160.9 km)を超えた投手は2人しかいない。しかし、その2人ともポストシーズンに出場する。ロサンゼルス・ドジャースは時速99マイル(約159.3 km)超えの若き先発投手が期待の的だ。
プレーオフに出場する投手の全員が速球派というわけではない。ドジャースのエースであるクレイトン・カーショウの速球は平均で時速91マイル(約146.5 km)にも達しない。テキサス・レンジャーズの先発投手であるデーン・ダニングに至っては、時速90マイル(約144.8 km)台に乗ることさえ稀だ。しかし、彼らは例外的な存在であると言えるだろう。
2023MLBプレーオフに登場する剛球投手たちをランキング化してみた。
2023MLBプレーオフに登場する剛球投手たち
球速に関しては、ミネソタ・ツインズのクローザーを務めるジョアン・デュランが群を抜いている。フォーシーム速球の平均球速は驚異の時速101.8マイル(約163.8 km)である。トロント・ブルージェイズの救援投手であるジョーダン・ヒックスの平均球速は時速100.3マイル(約161.4 km)である。平均球速が時速100マイル(約160.9 km)を超える投手はこの2人だけだ。
2023年ポストシーズンの剛球投手10傑は以下の通りだ。
選手名 | 平均球速 (マイル) | 平均球速 (km) | チーム |
ジョアン・デュラン | 101.8 | 163.8 | ミネソタ・ツインズ |
ジョーダン・ヒックス | 100.3 | 161.4 | トロント・ブルージェイズ |
ボビー・ミラー | 99.1 | 159.5 | ロサンゼルス・ドジャース |
アロルディス・チャップマン | 99.0 | 159.3 | テキサス・レンジャーズ |
藤浪晋太郎 | 98.4 | 158.4 | ボルティモア・オリオールズ |
ブライアン・アブレイユ | 97.6 | 157.1 | ヒューストン・アストロズ |
グレイソン・ロドリゲス | 97.4 | 156.8 | ボルティモア・オリオールズ |
スペンサー・ストライダー | 97.3 | 156.6 | アトランタ・ブレーブス |
タナー・スコット | 96.8 | 155.8 | マイアミ・マーリンズ |
ヘスス・ルサルド | 96.7 | 155.6 | マイアミ・マーリンズ |
ポストシーズンの速球投手トップ10のうち、6人が救援投手で4人が先発投手だ。ドジャースの新人、ボビー・ミラーは平均球速が時速99.1マイル(約159.5 km)で先発投手としては一番速い。グレイソン・ロドリゲス(ボルティモア・オリオールズ)、スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)、タナー・スコット(マイアミ・マーリンズ)、ヘスス・ルサルド(マーリンズ)がリスト下位に連なる。
もし故障がなければ、このリストに名を連ねていたはずの投手は多い。オリオールズのクローザーであるフェリックス・バティスタの平均球速はMLB3番目の時速99.5マイル(約160.1 km)だが、故障のためこのポストシーズンには出場しない。マーリンズの先発投手であるサンディ・アルカンタラとユーリー・ペレスは2人とも平均球速が時速97.5マイル(約156.9 km)以上だが、やはり故障欠場である。
オリオールズの藤浪晋太郎は平均球速が時速98.4マイル(約158.4 km)で、このポストシーズン剛球投手リストの5位にランクされる。しかし、シーズン終盤で調子を落とし、ディビジョン・シリーズでベンチ入りをはたすかどうかは微妙なところだ。
ジョアン・デュランの成績
デュランの球速は成績に結びついているだろうか。キャリア通算で防御率2.15、9イニング平均奪三振数は12個だ。今シーズンはツインのクローザーに昇格した。
シーズン | イニング | 防御率 | WHIP | 奪三振 | セーブ |
2022 | 67.2 | 1.86 | 0.98 | 89 | 8 |
2023 | 62.1 | 2.45 | 1.14 | 84 | 27 |
ツインズは2023年シーズンの多くを先発投手陣に頼った。しかし、ブルペンに控えるデュランの存在は大きな価値があったに違いない。デュランにとってポストシーズン出場は初めてのことになる。
原文: Hardest-throwing pitchers in MLB playoffs: Where Jhoan Duran, Jordan Hicks & more rank in 2023
翻訳:角谷剛