大谷翔平の移籍先が決まった今、MLBの関心はもう一人の日本人スター選手、山本由伸に寄せられている。
現在25歳の山本は、サイヤング賞に2度輝いたブレイク・スネル以上、今オフのフリーエージェント投手では一番の目玉選手と言われており、相当な額の大型契約を手にすると目されている。2023年、オリックス・バファローズで171イニングを投げ、防御率1.16という抜群の数字を記録した山本をローテーションに加えたいと考えるチームが列をなすのは当然だ。
大谷同様、山本との契約には相当な金額提示が必要となるし、実際に山本を獲得できるのは1チームだけ。それでも、山本はMLBキャリアを始めるにあたっての十分な選択肢を手にするはずだ。
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ここでは、本誌が山本に最もフィットすると考えられる移籍先6チームを紹介する。
山本由伸の移籍先候補
ヤンキース
いくつかの報道によれば、山本由伸争奪戦の最有力候補とされているのがヤンキースだ。今週月曜も山本と会談していたとされており、スポーツネットワーク「SNY」のアンディ・マルティーノ記者は、そのミーティングの時点でヤンキースは「確固たるポジション」を築いていると報じた。
山本がヤンキースに加われば、2022年のア・リーグMVPであるアーロン・ジャッジ、今季のア・リーグのサイヤング賞投手ゲリット・コール、MLB屈指の若手選手で新加入のフアン・ソトといったスター選手たちのチームメイトとなる。山本がスポットライトを浴びたいと思うなら、ニューヨーク以上の舞台はないだろう。
ソトを獲得したとはいえ、ヤンキースのロスターにはまだ補強ポイントが多数ある。中でも先発ローテーションは最優先事項だ。マイケル・キングをトレードで放出し、ルイス・セべリーノがチームを去り、フランキー・モンタスも2023年シーズンほぼプレーすることなくフリーエージェントとなった。現状ではコール、カルロス・ロドン、ネスター・コーテズJr.に続く先発投手がいない状況だ。
山本が加われば、コールと組む先発1、2番手のローテーションは強力なものになる。ただ、山本に大金を投じれることで、この先ソトと改めて長期契約を結ぶ可能性への影響が懸念される。
ヤンキースでは過去に松井秀喜や田中将大という2人の日本人選手がプレーし、愛されてきた。山本にとって彼らの存在は、ニューヨークでの経験をイメージする上でいいモデルとなるだろう。
メッツ
メッツは、スティーブ・コーエン・オーナーの十分な資金力があるにもかかわらず、大谷獲得にそこまで熱心に動くことなかった。大谷以外でもこのオフは1年前に比べて目立つ動きを見せていない。その理由の一つは2024年シーズンがチームの過渡期になり、優勝を狙うのは難しいと思われるからだ。選手によっては、こうしたチームが見据える長期プランにはフィットしないだろう。だが、現在25歳の山本は数年後、メッツが優勝を狙うコンテンダーとなったときにもまだ充分ピークの状態にあると考えられる。
2024年シーズンのメッツで先発投手一番手となるのは千賀滉大だ。1年前、日本からやってきた千賀は素晴らしいルーキーイヤーを送った。千賀の存在は、新天地での挑戦を始める山本に親近感を与えるだろうし、メッツのローテーションにとっては強力な先発コンビとなるはずだ。
チームにフィットする選手だと考えれば、メッツは資金的に躊躇することはない。山本に最高額を提示するチームがメッツとなる可能性は大いにある。
ドジャース
ドジャースは大谷と7億ドルの保証契約を結んだばかりだが、契約額の大部分を将来的に繰り延べたことで、今オフまだ補強に回せる資金はある。だが、もう一人の日本人スターを獲得するほど残っているだろうか?
金額面さえマッチすれば、大谷の存在に加え、大きなマーケットでプレーしたいという思いは、山本の目にロサンゼルスを魅力的なチームとして映すはずだ。クレイトン・カーショウがいまだフリーエージェントで、2024年の開幕時にはプレーできないことを考えれば、ドジャースのローテーションには不確定要素が多い。ドジャースがピッチャーを必要としているのは間違いない。
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ジャイアンツ
ジャイアンツは昨シーズン、アーロン・ジャッジを獲得し損ね、カルロス・コレアへの高額契約提示も実らず、このオフには大谷獲得にも失敗した。今度は、拒否できないレベルの契約提示をするほど山本獲得に本気になるだろうか?
ナ・リーグ西地区4位とパッとしないシーズンを送ったチームにとって、ロスターのテコ入れは是が非でもしたいところ。特に、ローガン・ウェブの他にこれといった先発投手がいないチームに山本のような才能ある選手を加えることができれば、大谷獲得でドジャースに持っていかれたベイエリアの関心を取り戻すことができるだろう。
ブルージェイズ
ブルージェイズは大谷翔平獲得に大金を投じる腹づもりだった。その資金を山本に振り替えることはあるだろうか?
アレク・マノアは不調を極めたが、それでも昨季のトロントの先発投手陣に大きな課題はなかった。むしろブルージェイズにとって今必要なのは打者の方だ。それでも、山本のように若くて才能のある選手であれば、積極的に獲得に出てもマイナスではないだろう。
大谷、そしてソトを獲得できなかった今、残るめぼしいフリーエージェントはコディ・ベリンジャーくらい。つまり、フランチャイズの命運を変えるような強打者をこの冬に獲得することはできなくなってしまった。それならば、投手陣を補強すると言うのもありはなずだ
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レッドソックス
このオフここまで、レッドソックスはずっと静かだった、補強といえば、アレックス・ベルドゥーゴを放出し、その後釜にタイラー・オニールを獲得した程度。どこかのタイミングで先発投手を補強することは間違いないだろう。あとは、コストパフォーマンスのよいフリーエージェントを獲得するのか、それとも山本に狙いを定めるのが現実的なのか。この数年ビッグネーム獲得よりも堅実な補強を優先してきたフロントオフィスの考え方次第だ。
噂に上がっているように、他の日本人選手と一緒にプレーしたいと山本が考えるなら、レッドソックスにはこの先4年間、吉田正尚がいる。また、今のボストンであれば他のチームと違って、コールのようなスター選手の影に隠れることなく、山本はいきなりエース格になることができる。
想定される山本由伸の契約
ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマン記者によれば、山本の契約は3億ドル(約462億円、1ドル=142円換算、以下同)相当と見込まれている。また山本と契約するチームは、最終的な契約額にもよるが、契約金のほかに3500万ドル(約49億7000万ドル)程度のポスティング・フィーを支払う必要もある。
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当初、山本の契約額は2億~2億5000万ドル(約284~355億円)程度と想定されていたが、欲しがるチームの数が増えたこと、このオフのフリーエージェントの層が薄いことが山本にとっては有利に働いている。
MLBの歴史でこれまで、純粋に投手として3億ドルの契約を手にしたのは、2019年にヤンキースと9年3億2400万ドルの契約を結んだゲリット・コールだけだ。もし山本がこのコールの数字を上回るとすれば、山本は契約時にコールよりも4歳若いことになる。
この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。
翻訳:石山修二(スポーティングニュース日本版)
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