マイク・タイソンvsジェイク・ポール|世界最凶男vs問題児のボクシング対決決定と延期の経緯|日程や参考オッズも紹介

Daniel Yanofsky

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

山下晴輝 Haruki Yamashita

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発表以来、賛否両論を巻き起こしている「マイク・タイソンvsジェイク・ポール」が、いよいよ日本時間11月16日(土)に米国テキサス州で行われる。この異色対決の背景と、試合が延期されたある原因について解説する。最新の日程や大手ブックメーカーのオッズについてもまとめる。

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無謀?茶番? 鉄人タイソンとの対決に挑むお騒がせ男

ここ数年、ボクシング界を侵食してきた、YouTuberやTikToker出身の『インフルエンサー系ボクサー』。その中でも一番の稼ぎ頭で、顔役といえば、ジェイク・ポールだ。兄のローガン・ポールとともにいわゆるインフルエンサーがボクシングに挑戦するという企画から競技キャリアをスタート。その後プロボクサーとして元MMAファイターらとの戦いに勝利し、話題と議論を振りまいてきた。自身のプロモーション、『MVP(モスト・バリューアブル・プロモーションズ)社』を立ち上げ、アマンダ・セラノなど複数選手と契約を結んだ。

そんなジェイクだが、2023年2月に元WBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリーの異母弟であるプロボクサー、トミー・フューリーに敗れて以来、ここ最近強豪ファイターと対峙していないことから、その異質なボクシングキャリアに関する世間の注目度が下降していた。

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しかし、やはりこの『問題児』(The Problem Child)は界隈のトップランナーだった。ファンの期待、そしてアンチの批判に応えた。ボクシング界のスーパーレジェンド、マイク・タイソンと戦うことを発表したのだ。

この賛否両論の対決は、当初は現地時間7月20日に実施予定だったが、タイソンの健康状態回復を待つ形となり、同11月15日(日本時間16日)に延期された。

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ジェイクvsタイソンの試合は、テキサス州アーリントンにあるAT&Tスタジアムで行われ、動画配信世界最大手の『ネットフリックス』(Netflix)で配信される。日本向けのネットフリックスでもライブ配信を予定している。

なお、これはネットフリックスの初めての格闘技中継コンテンツとなり、メインイベントのジェイクvsタイソン以外にも、ケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノの再戦という女子ボクシングのドル箱対決や、WBA世界ウェルター級王者マリオ・バリオスのタイトルマッチも行われる。

米エンタメ誌『Variety』によると、ネットフリックスは、2024年第3四半期に有料会員数が全世界で2億8,272万人に達したとされ、少なくともその人数がタイソンとジェイク・ポールの試合を目撃することが可能になる。

この試合をプロモートするMVP社の共同創設者ナキサ・ビダリアンは、「ジェイク・ポール vs. マイク・タイソンは一生に一度の夢のようなマッチアップで、近年のボクシング史上最も注目されるイベントになるだろう。Netflixで中継を配信するということは、異例の規模で世界に届ける前代未聞の機会になる。スポーツ界で最も大きなネームバリューを持つ両者の激しい戦いを届けられることを我々は楽しみにしている。6つの世代(1980〜2020年代)に渡るボクシングファンたちがこの試合の結果に賭け、『悪童』ジェイク・ポールが、『地上最凶の男』マイク・タイソンに全力をぶつける姿を目撃するだろう」と述べた。

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■復活したタイソン、その前座で話題になったジェイクとの対決が実現

『地上最凶の男』として知られるマイク・タイソンは、1985年にプロデビューした。リングの中でも、そして外でも恐れられるタイソンは、44のKO勝ちを記録し、文字通り対戦相手を粉砕してきた。主要3団体時代における最も有名なヘビー級アンディスピューテッド王者は、トレバー・バービック、マイケル・スピンクス、バスター・ダグラス、イベンダー・ホリフィールドらとの試合を通して成功や挫折を経験している。

タイソンは2005年、ケビン・マクブライドに敗れたのを機に現役を引退した。しかし、史上最高のボクサーは2020年、ロイ・ジョーンズ・ジュニアとのエキシビションマッチのためリング上に復活を果たした。同大会にはプロボクシングに進出したばかりのジェイクも出場し、元NBAスターのネイト・ロビンソンと戦った。

ロビンソン戦後のジェイクは、MMAファイターのベン・アスクレン、タイロン・ウッドリー(2度)、アンデウソン・シウバ、ネイト・ディアスらにも勝利していった。2023年には初めてプロボクサーであるトミー・フューリーと対戦し敗れたが、アンドレ・オーガストにKO勝利を収め、同年を締めくくった。

今年の3月初旬には、元ディズニースター(ジェイクは10代の頃、ディズニーのいたずら番組の出演者だった)はライアン・ボーランドにTKO勝利したが、多くの人々は彼の型通りのパフォーマンスと、長いブランクで動きの鈍った対戦相手を批判した。

そうした批判的な声を黙らせるべく、ジェイクは『地上最凶の男』に挑む。

「プロ2戦目でマイク・タイソンの前座として戦い、ネイト・ロビンソンをKOしたことでオレは有名になったんだよ。それから4年も経たずして、今の自分がボクシング史上最も悪名高いファイターであり最大のアイコンを倒せるだけの力があるか、それを確かめるため、タイソンとの試合に挑戦する」

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■タイソンの持病再発で11月15日に延期も、健康不安は尽きず

試合決定発表後、UFCのCEOダナ・ホワイト氏や人気格闘家コナー・マクレガーなどの格闘技関係者やファンの間で、当時57歳のタイソンの健康不安が懸念され続けていた。そんな最中の5月26日、タイソンがマイアミからロサンゼルスへの飛行機移動中に吐き気とめまいを訴え、機上で治療を受けたというニュースが世界を駆け巡った。

ロサンゼルス空港着陸直後、ほかの乗客が降りる前に救急隊員が乗り込み治療を行ったというほど緊急性の高いものだったが、症状は潰瘍(かいよう)の再発だった。2日後には自身のX(旧Twitter)に「今の調子は100%。まあジェイク・ポールを倒すのにそんなに必要ないがね」と投稿し、無事を報告した。

しかし、この事態を受けて7月20日に予定されていた試合は、11月15日に延期された。7月のイベント自体は中止にはならず、会場をアマリーアリーナ(テキサス州タンパ)に変更して実施。ジェイクはタイソンの代役として、元UFC戦士で『BKFC』(ベアナックルファイトチャンピオンシップ)を主戦場にするマイク・ペリーとボクシング公式戦(8回戦)を行い、6回TKOで快勝している。

そもそもジェイクvsタイソンがボクシング公式戦となるか、エキシビションマッチとなるか、開催地のテキサス州アスレティック・コミッションが、「30歳差」(27歳と57歳)の試合をどういう形で承認するのかについて、最初の決定報道直後は明確にされていなかったが、脳波・心電図などの検査を条件に承認したとされる。タイソン陣営は、当初から『公式戦』であることを主張した。

しかし、6月30日には58歳を迎えたタイソンには、さらなる健康不安が懸念される。過去にはアルコール依存症で苦しみ、坐骨神経痛で車椅子生活を送っていた時期もある。またジェイクとの試合では『クリーン』な状態が求められるため、常用していた大麻(居住地のロサンゼルスでは合法)をやめたことで痛みがでてきた(耐えられなくなった)のではないかとも囁かれている。

ヘビー級8回戦の契約で公式戦としての試合実施は確定したものの、『世界最凶の男』の健康状態は試合当日まで、あるいは試合後も不安視されることになる。


マイク・タイソンvsジェイク・ポール:試合日程

タイソンvsジェイク・ポールとアンダーカードは、現地時間2024年11月15日(日本時間16日)に行われる。メインイベントは、日本では16日午後1時(13時)頃開始を見込む。

中継はメインカード4試合がNetflixで全世界ライブ配信される。

詳しくはこちら:【11月16日】Netflixでマイク・タイソンvsジェイク・ポールが見られる?|視聴料金・登録方法まとめ

マイク・タイソンvsジェイク・ポール:試合会場

会場は米国テキサス州アーリントンにある「AT&Tスタジアム」。NFLダラス・カウボーイズのホームスタジアムで、通常仕様で80,000人以上、最大111,000人収容可能とするメガスタジアムだ。

同施設でのボクシングイベントの最大観客動員数では、2021年のサウル『カネロ』アルバレスvsビリー・ジョー・サンダースが73,000人超を動員した。

マイク・タイソンvsジェイク・ポール:参考オッズ

ブックメーカー各社のオッズは以下となる。年齢と健康状態の問題もあってか、ジェイクがやや優位というオッズ傾向が出ている。

ブックメーカージェイク・ポールマイク・タイソン
BetMGM-200+200
Bet365-200+200
William Hill-225+188
Draftking-260+200
Fanduel-245+196
Unibet-238+195
Betfred-200+200

このオッズはアメリカンオッズ式となり、「-200」は100ドルの配当を手にするのに200ドルをかける必要があり、当たった場合は200+100=300ドルの払い戻し。「+196」は100ドルを賭けて当たれば196ドルの配当となり、100+196=296ドルの払い戻しとなる。

※11/11時点

ジェイク・ポール:プロフィール・戦績

  • 国籍:アメリカ
  • 生年月日:1997年1月17日(27歳)
  • 身長:183cm
  • リーチ:193cm
  • プロ総試合数:10
  • プロ公式戦戦績:9勝1敗(6KO)

マイク・タイソン:プロフィール・戦績

  • 国籍:アメリカ
  • 生年月日:1966年6月30日(58歳)
  • 身長:178cm
  • リーチ:180cm
  • プロ総試合数:56
  • プロ公式戦戦績:50勝6敗(44KO)

マイク・タイソンvsジェイク・ポール:メインカード(試合順)

  • 【メインイベント】ヘビー級8回戦
    ジェイク・ポール(アメリカ)vs マイク・タイソン(アメリカ)
  • 【セミ】WBA/WBC/IBF/WBO/リング誌 女子世界スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
    ケイティー・テイラー(王者、アイルランド)vs アマンダ・セラノ(アメリカ)
  • 配信内第2試合:WBC世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦
    マリオ・バリオス (王者、アメリカ)vs アベル・ラモス(アメリカ)
  • 配信内第1試合:スーパーミドル級6回戦
    ニーラジ・ゴヤット(インド)vs ウィンダーソン・ヌーネス(ブラジル)

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

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スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。小学校から大学まで計15年間サッカーに没頭。ポジションはボランチで、全盛期のカゼミロやカンテに憧れていた。現在は佐野海舟に大の期待を寄せながら、スポーティングニュースのサッカー部門編集者として欧州リーグからJリーグまで世界中のサッカー動向をチェックしている。