マンチェスター・シティ 経営陣が語る、次なる10年

Sam Lee

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2014-15年シーズンから黒字経営を続けているビジネス面において、シティと世界中にあるシティの系列クラブチームが持つ可能性は無限だ。

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2010年以来、全世界にいるファン層を4倍に増やしたことが発表されたとはいえ、さらに多くのファンを獲得してアブダビ(ユナイテッド・グループ)時代を次のステージへ先導するためにも、グアルディオラのチームはタイトルを勝ち取り続けなければならないだろう。

その金額を比較的容易に捻出できるという事実があるにせよ、一人の選手を獲得するために2億ポンドを支払うつもりがないことを経営陣が断言したところに、シティの将来的な成長プロジェクトへの筋道は描かれている。

「エティハド・スタジアムの増築を考えているんだ。今後10年間のうちのどこかで、とはさすがに言えないけどね」とインフラ・財産部門を統括するピート・ブラッドショーは話す。「クラブチームやファン、そして我々の経営状況にとっても正しいタイミングで増築したい。すべての条件を満たしたときに初めて増築に踏み切ることになるだろう」

それに代わって、エティハド・スタジアム近くの土地を有効活用することがより控えめなプロジェクトになる。マンチェスター・メトロポリタン大学はスタジアムのとなりに3000人の学生が入る新しい学部を作る。シティは古い工場群がある荒廃した地区を改築するか新しく建て直し、スタジアムから市内に向かうアシュトン運河を通るルートを再開発する。

よりグローバルな観点では似たような話があり、巨大なCFG(シティ・フットボール・グループ)は中国に進出して既存クラブを買収するか新たにクラブを作ってリーグに参入すると見られていたが、現実は違った。

「中国スーパーリーグがインフレ時代を迎え、各クラブが選手たちに現実的とは思えないほど巨額の移籍金を投じてきたのを見てきたが、我々は異なる方策を取ることにしたんだ」とオマール・ベラーダ最高執行責任者は話す。「我々もその市場に含まれてはいるが、まだ(系列チームの)ニューヨーク・シティFCが行ったような投資レベルには達していないんだ」

新しい領土に進出していく際は、ニューヨーク・シティFC式の発展戦略を取ることに”前向き”ではあるが、あくまで適切な状態のときに限るとベラーダは話している。

これらの新たな試みは、ローカル・コミュニティを開拓して利益を生み出し、CFGの、ひいては「シティ」の名を世界に広めるべく計画されている。

「昔は(マンチェスター・)ユナイテッドを観に来た観光客やリバプールに集まるスカンジナビア人たちが写真を撮っている姿を見て、うちのファンは絶対しないね、と笑っていたものだけど」オフィシャル・サボーターズ・クラブの事務局長を務めるケビン・パーカーは話す。「実際はうちが強くなかったから試合を見に来たがらなかっただけだったんだ。今は彼らも我々の一員だよ」

新規ファン層の開拓は難題でもある。観る者を魅了して新たなサポートを得る一方で、数十年に渡ってクラブを追いかけてくれた忠誠的なファンのこともちゃんと顧みる必要があり、少なくとも彼らを悩ませるようなことがあってはならないからだ。

サッカー界で唯一、ロボットメーカーと公式ロボット・パートナーシップを締結して新しい領域に踏み出したシティの決断は、ライバルチームのみならず自分たちのファンからも非難を浴びた。

エティハド・スタジアム全体にフリーwi-fi通信を行き渡らせ、試合開催日はスタジアム脇に娯楽ゾーン”シティ・スクエア”を開くことを含めた新たなサービスを通じて、シティはクラブのことを問題視するサポーターとコミュニケーションを図る機会を作る努力をしてきた。だが、その努力も、チケットを値上げしたことによって水の泡となった。

5月に値上げされたチケット価格は、上げ幅が小さかったため多くのファンから苦情が来ることはなかったが、ここまで収益のあるクラブがなぜ(1試合あたり)たった数ポンドの値上げを必要とするのか?

「そこまで単純な話ではないんだ」ベラーダは話す。「チケットの価格設定については長い目で見てもらいたい。2009-10シーズンからのシーズンチケット価格250ポンドは、ストーク(・シティ)が5ポンドだけ安かった1シーズンを除いてプレミア・リーグで最も低いんだ」

「我々はさらに成長していかなければいけないし、出費も抑えていかなければいけない中、有機的なインフレーション率を記録している。それにサポーターに対してチケットを売るということはフットボールを見せるということであって、価格とクオリティを対比すれば、間違いなくプレミア・リーグ最高のコスト・パフォーマンスだと確信しているよ」

「我々はいなければいけない位置にいるし、我々のファンもそれを理解してくれている」

たしかにシティがそのスタイルを維持して勝ち続ける限り、不満の数も少なくなり問題も取るに足らなくなるだろう。

「友達がこの前のハダーズフィールド戦を観に行って、パイを食べるかビールを飲むかで問題になったらしいんだけど」とサポーターズ・クラブ事務局長のパーカーは話す。「シティが6対1で勝ってすごく楽しかったらしくて、小言の多い彼女に何の不満も言われなかったんだ。2対1で負けていたら違ってたろうけどね。フットボール・ファンとはそういうものなんだ」。

そしてシティが本当にシティらしく勝ち続けられれば、シティ・フットボール・グループにとって実り多き10年間を過ごしていく準備が整うだろう。

原文:What does the next decade hold for the Man City model?

翻訳:Kaito Kato


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