【B☆スター名鑑 Vol.3】ジェフ・ギブス(栃木ブレックス): 不屈の精神を宿す小さな巨人

Tetsuya Ohashi

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B.LEAGUE(Bリーグ)で栃木ブレックスの試合を観ていると、小柄な外国人選手が相手チームのビッグマンをマークしている場面が散見される。その選手は、自分より一回り以上も大きな相手を封じ、リバウンドを奪い、攻めても力強く得点を決めてしまう。栃木に加入して2シーズン目、地元ファンから“ギブちゃん”の愛称で親しまれるジェフ・ギブスを紹介しよう。

アメフト仕込みの屈強な体躯と速さ

栃木の先発パワーフォワード(PF)を務めるギブスの身長は、わずか188cmにすぎない。同じポジションの竹内譲次(207cm/アルバルク東京)はおろか、シューティングガード(SG)の田中大貴(192cm/アルバルク東京)やPG/SG(ポイントガード/シューティングガード)で登録されている比江島慎(190cm/シーホース三河)よりも小さい。

そんなギブスが2メートルを超えるビッグマンと互角以上に渡り合えるのは、屈強な体躯と機動力を備えているからにほかならない。体重は110kgとセンター級で、大学時代にバスケットボールと並行してアメリカンフットボールをプレイしていたこともあり、体つきはさながらプロレスラーのよう。その鍛え抜かれた肉体と、213cmに及ぶウイングスパン(両腕を左右に広げたときの長さ)をフル活用することで、自分より上背のある相手でも難なく封じてしまうのだ。

オフェンスでは、188cmの選手らしい機動力を活かしてスピードのミスマッチを生む。ギブスが繰り出すスピーディかつパワフルな低い姿勢のドライブに相手ビッグマンはついていけず、イージーショットを許してしまうのだ。とりわけ、栃木のオフェンスが停滞しているときなどは、ギブスのアタックで状況を打開することも少なくない。

アキレス腱断裂から復帰後、チームは上昇

昨季のBリーグファイナルではゲーム最多の25得点をマークして優勝に大きく貢献したものの、試合残り7秒で左足アキレス腱を断裂する悲劇に見舞われた。しかし、このような大怪我を負ったにもかかわらず、わずか約7か月で戦列に復帰するという驚異的な回復力を見せつけている。

ギブスの復帰前まで11勝12敗と苦しんでいたチームも、復帰後は16勝10敗と勝ち越しており、この小さな巨人がチームの起爆剤となっていることに疑いの余地はないだろう。

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昨季、Bリーグ初代王者に輝いた栃木は、今季は序盤戦の停滞が尾を引いて、現在もチャンピオンシップ(CS)出場すら確定できずにいる。そんななか、4月7、8日(第27節)にワイルドカード(各地区1~2位の6チームを除いた残りのチームの中で最高勝率をあげた2チームがCS出場権を獲得)争いで3ゲーム差に迫るレバンガ北海道とホームで戦う。

過去9戦で6敗を喫している北海道は、リーグ3位の平均18.5得点をあげるPF/C(パワーフォワード/センター)のマーク・トラソリーニや元NBA選手のSF/PF(スモールフォワード/パワーフォワード)、ディジョン・トンプソンなど、2メートル超えのタレントを擁している。栃木が勝つためには彼らを封じる必要があるが、その責務を担うのがギブスだ。

CS出場へ向けて負けられない試合が続く栃木には、どれだけ劣勢でも最後まであきらめない姿勢が根付いている。その心意気はしばしば“ブレックスメンタリティ”と称される。サイズ不足をものともせず、誰よりもコートでエネルギッシュに動き回るギブスは、その精神を体現する存在と言えるだろう。

Tetsuya Ohashi