すごく大変な、悔しい思いをした1年でもあった
8月19日、メンフィス・グリズリーズの2ウェイ契約選手としてNBA2年目のシーズンを終えた渡邊雄太が、日本のメディア向けのオンライン会見を開催した。渡邊はこの1年を「成長を感じられた」とする一方で、「悔しい思いもした」と振り返った。
渡邊は会見の冒頭で「すごく成長を感じられた1年」と語った。
「数字を見ても、去年に比べて、GリーグもNBAも上がっている部分が多かった。そこに関しては自信もつきましたし、自分も高いレベルでやっていけるんだ、ということを再確認できた」。
一方で、NBAでは思ったような結果を残すことができず悔しさが残ったとも語っている。
「Gリーグでは文句のない活躍ができたと思うんですけど、NBAではまだまだ自分の足りないところっていうのを痛感しました。今シーズン、2シーズン目のうちに本契約を、という目標を掲げてやってたんですけど、最後までその目標は達成できずにシーズンは終わってしまった。コロナとかもいろいろありましたし、そういうのも含めてすごく大変な、悔しい思いをした1年でもあったかなというふうに思っています」。
渡邊は、2018-19シーズンからNBA(メンフィス・グリズリーズ)とリーグ公式のマイナーリーグであるNBA Gリーグ(メンフィス・ハッスル)の両方でプレイできる2ウェイ契約という立場で2年間を過ごした。グリズリーズでは今季、18試合出場、平均5.8分、2.0得点、1.1リバウンド、0.3アシスト、0.3スティール、0.1ブロック、フィールドゴール成功率44.1%、3ポイントショット成功率37.5%を記録した。
昨季はグリズリーズで15試合出場、平均11.6分、2.6得点、FG成功率29.4%、3P成功率12.5%だったことを考えれば、シュート成功率に関しては2年目の今季は大きく改善することができたと言える。
また、Gリーグでの成績を比較しても、昨季と今季では平均得点(14.1→17.2)、FG成功率(43.4%→54.2%)、3P成功率(33.3%→36.4%)はいずれも向上しており、「そこに関しては、成長が数字でもはっきり見える部分」と渡邊自身も成長を自負している。
ただ、昨季から課題としていた3Pに関しては「自分が思っているほど確率を伸ばせなかった」とし、「もっと高確率で決めたかった」と言う。
「去年に比べて自信を持ってプレイできていたと思うんですけど、GリーグからNBAに行くと、少し身構えてしまっている自分がいる。GリーグでできることがすべてNBAでもできるというわけではないんですけど、それでも自分の中で、試合後、あそこはもっとできたんじゃないかなっていう反省点があった。そういう精神的な部分でも悔しい思いが残るシーズンだった」。
NBAの舞台にかける思いがより増した2年間
先般のシーディングゲームズでは、チームにけが人が続出したことでようやくベンチ入りできる状況だった。NBAで思うような出場機会を得られなかったこの2年間について悔しさをにじませる一方で、渡邊は「だからといって、自分が本来やらなければならないこと、努力とか、そういう部分をやめたことは一切なかった」と語る。
「毎日(努力を)継続できていた。それを最後まで活かせなかったのは悔しい。ただ、そういうことも含めていい経験だった。この2シーズン、こんなに試合に出られない経験は僕のバスケ人生でなかった。だから余計に、このNBAの舞台にかける思いがより増した2年間でした」。
そんななかでも、NBA2年目を終えた今、渡邊は「(NBAで)やっていけるだけの力はあると思う。あとはどれだけコーチの信頼を得られるかだとか、コートで出していけるかだと思っている」と、手応えも感じている。渡邊は今後も自分がやるべきことをしっかりと突き詰めていくつもりだ。
「やらなきゃいけないことというのは、今までもやってきたつもりですし、これからも継続してやっていく。今は与えられているチャンスというのが短いなかで、それでも、もっともっとインパクト残さないとだめだというのはこの2年間で痛感させられました」。
「ただ、プレイスタイル的に、自分は短い時間で派手なプレイを決めるとかそういうタイプの選手ではない。いかに日頃から、練習とかに入ったときにそういう部分でアピールするかとか、勝負が決まった時間に出されても、いかにディフェンスをやったりだとか、そういう部分でもっと突き詰めていかなきゃいけないと感じました。このオフシーズンで全体的に進化していかないと、本契約は現状では難しいのかなと思いました」。
今後に関しては一旦帰国して来シーズンに備える予定だというが、具体的な予定は何も決まっていない。新型コロナウイルスによる渡航規制や自主隔離期間が必要になる可能性などを含めて今後の予定を検討していくつもりだという。