デンバー・ナゲッツは2回目の優勝を達成するために、タレントのアップグレードを必要としている。シカゴ・ブルズは2025年のドラフト指名権を保ち、ロスターの再編成を続けていくために、スター選手のザック・ラビーンをトレードする必要がある。では、両球団が取引することはあるのだろうか。
『The Athletic』のトニー・ジョーンズ記者とサム・エイミック記者が報じたことによれば、その答えは「イエス」かもしれない。両記者は12月17日(日本時間18日)、ナゲッツが特にラビーンに対する関心を示しており、「最近の議論で強くラビーンに集中している」と報じた。
ナゲッツは財政状況が厳しい。ファーストエプロンを上回っている(※エプロンは例外条項などの制限を決定する基準額)。誰を放出してもそれ以上のサラリーを引き受けることができないということだ。そしてトレードできる選手も多くない。どんな大型取引でも、年俸3580万ドル(約55億4900万円/1ドル=155円換算)のマイケル・ポーターJr.を含めなければいけないだろう。
エイミック記者とジョーンズ記者によれば、ジーク・ナジも候補だ。そして大事なのは、この種の取引ではドラフト指名権の入れ替えがあるかもしれないということだろう。The Athleticは「どんな大型取引だろうと、ナゲッツはドラフト指名権交換権を含めなければいけないだろう」と報じた。
ここでは、ラビーンをめぐるトレードの案と、両チームにとって理にかなうかどうかをまとめる。
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ザック・ラビーンのナゲッツへのトレード案
トレード案
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ナゲッツ獲得:
- ザック・ラビーン
- トーリー・クレッグ
ブルズ獲得:
- マイケル・ポーターJr.
- ジーク・ナジ
ナゲッツにとってのメリット
ニコラ・ヨキッチは今季、おそらく4回目のMVPを受賞するだろう。そしてナゲッツはロスターを真剣にアップグレードしなければ、彼の歴史的な活躍を無駄にすることになる。ジャマール・マレーは前回優勝時のような選手ではなくなっているようで、ナゲッツはロスターのほかの選手たちからも十分に得ることができていない。
ナゲッツはそのことをよく分かっている。だからアップグレードを目指しているのだ。提示できるものは多くない。そこで彼らが追っているのは、エイミック記者とジョーンズ記者によると、ラビーンやジョーダン・プール、ジョーダン・クラークソン、ディアンドレ・ハンター、キャメロン・ジョンソン、ヨナス・バランチュナスといった選手たちだ。
その中で最も攻撃面での才能がある選手は、間違いなくラビーンだろう。今季は3ポイントショット成功率42.8%を記録しており、通算でも38.4%という数字だ。ヨキッチが48.9%という素晴らしい成功率を記録しているにもかかわらず、今季の3P成功がリーグ26位というナゲッツが強く必要としているスキルである。
そしてラビーンはただのシューターではない。スラムダンクコンテストで2回優勝しており、1歩目が素晴らしく、2ポイントショットの成功率も56.9%。いつでも望めば自分でショットをつくり出せる。ヨキッチがベンチに座ると100ポゼッションあたり16.6点差で対戦相手を下回っているナゲッツのベンチユニットを強化するだろう。
ラビーンのサラリーは過度に高く、それが市場での停滞につながった。だが、優れた選手であることは疑いない。ドラフト1巡目指名権を提示できない中で、ナゲッツが得られる最高のタレントだ。そしてチームメイトを向上させてきたヨキッチのこれまでを考えれば、ラビーンはナゲッツでさらに良くなるかもしれない。
また、元ナゲッツのクレッグは依然として有益なローテーションプレイヤーだ。今の不安定なベンチメンバーを考えれば、ナゲッツに必要な選手である。取引に彼を含めることで、ブルズはのちのトレードで役立つかもしれない280万ドル(約4億3400万円)のトレードエクセプションを得られる。
ナゲッツはナジとポーターJr.の見返りにドラフト指名権を求めているとも報じられている。ブルズは提示すべきではない。このトレード案はフェアなものだ。しかし、ナゲッツは1巡目指名権交換権を交渉するかもしれない。
ブルズにとってのメリット
トップ10の保護条件がついている2025年のドラフト指名権を保つためには、今季のブルズはかなり成績を落とさなければならない。この時点でシーズンが終わったとしたら、ブルズは20.2%の確率でロッタリーピックをサンアントニオ・スパーズに譲ることとなる。そして単に指名権を保つこと以上に、ブルズには本当に球団の運命を変えられるかもしれない有力新人をドラフト指名するチャンスが必要だ。
そして、ラビーン放出は最も早道となる。彼が欠場した時のブルズは1勝3敗という成績だ。勝ったのは、複数のスターターを欠いていたトロント・ラプターズ戦のみ。それも122-121と僅差での白星だった。
もちろん、ポーターJr.の加入はブルズにとってリスクになり得る。才能あるシューター兼リバウンダーで、今季は3P成功率38.5%、平均18.5得点という数字だ。そしてラビーンより3歳若い。現在のチーム状況により合っている。
しかし、ポーターJr.には常にケガのリスクがある。そしてブルズはこれまで、こういったタイプの選手に関してあまり運がなかった。現在は5年1億7900万ドル(約277億4500万円)の契約の3年目。またケガに見舞われたら、数年にわたってチーム財政の重しとなり得る。今季はパスのビジョンが向上し、守備もかなり良くなったが、これらの点でネガティブなことは変わらない。
それでも、ポーターJr.のような、26歳で6フィート10インチ(約208センチ)の高さを持つシューターは、そうそう現れるものではない。高校時代にナンバーワンと評価され、2018年のNBAドラフトでロッタリー指名されたのには理由がある。
ブルズにとってより大きな問題は、2020年のドラフトで1巡目指名されたものの、4年3200万ドル(約49億6000万円)の契約を結んで以降、大きな失望だったナジを引き受けることだ。彼が復調し、契約に見合うようになる可能性はある。だが、2028年にフリーエージェントになるまで、チームのサラリーキャップを一部埋めることになる可能性のほうが高いだろう。だが、ラビーンのサラリーに合わせるために彼を取引に含めなければならない。
ブルズが割に合わない契約を引き受けずにラビーンを放出することは、おそらく不可能だろう。新たな労使協定の制約も考えれば、そうでなければトレードを実現させるのは難しすぎる。
これまでのシーズンなら、ラビーンほどの選手であれば、もっと多くを見返りに得られただろう。だが、今はこれが彼らに望めるベストだ。このトレードで真の報いは、2025年のドラフトでブルズが指名する選手になるだろう。
原文:Zach LaVine to Nuggets trade rumors: How Denver can acquire Bulls star in swap with Michael Porter Jr.(抄訳)
翻訳:坂東実藍
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