サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、今週末行われるUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦、マンチェスター・シティ対インテルの試合について『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。
両チームの質の高いストライカーがカギを握る
少し偏った見方かもしれないが、今季のチャンピオンズリーグ決勝は、両チームの質の高いストライカーがカギを握ることになりそうだ。
ペップ・グアルディオラ監督は、これまでもマンチェスター・シティで素晴らしいチームを作ってきたが、パターンは1つか2つしか持っていなかったように思う。いまのチームは、さまざまな方法、異なるフォーメーション、多くのスタイルでプレーすることができる、最高のオールラウンドなチームだ。
プレミアリーグ王者となった今季のシティには、アーセナル戦を見たときに最も感銘を受けた。アーセナルは非常にうまくプレッシャーをかけたが、シティはケヴィン・デブライネのサポートを受けたアーリング・ハーランドにボールを供給することでそれを回避した。これまでとは違うシティだった。
ハーランド加入前、シティはチャンピオンズリーグで、相手の守備を崩すのに苦労することがあった。セルヒオ・アグエロをセンターフォワードに置いたり、フィル・フォーデンやラヒーム・スターリングを偽9番として起用して、ゴールライン際までボールを持ち運んで、ボックス内に折り返す必要があった。
いまは早い段階でクロスを上げられる。真ん中に規律を守るストライカーがいるからだ。身長194cmで体は強く、スピードもある。そういう選手がいなかった。ハーランドはボールに触れなくても気にしない。1試合にワンタッチしかできなかったとしても、それが95分に挙げた得点であれば、彼は満足なのだ。
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シティの優勝以外の結末は想像できない
実際には、息をのむような展開にはならないだろう。シティの優勝以外の結末は想像できない。インテルには、ラウタロ・マルティネス、ロメル・ルカク、エディン・ジェコといった素晴らしいフォワード陣がいるが、どうやってボールを奪うかが彼らの課題になるだろう。
シティのレアル・マドリード戦でのプレーは、見ているだけで楽しかった。中盤にルカ・モドリッチ、トニ・クロース、フェデリコ・ヴァルヴェルデがいて、前にはカリム・ベンゼマとヴィニシウス・ジュニオールが構えるチームが、シティを相手にすると平均的なチームに見えてしまった。インテルに比べれば、レアルの先発メンバーは数段格上だった。
シモーネ・インザーギ監督率いるインテルが結果を残すためには、かなりコンパクトに陣形を保ち、カウンターサッカーをする必要がある。そうすれば、得点を挙げられるかもしれない。私もセリエAのペルージャでプレーしたことがあるが、イタリアのチームは必要なときに、このようなアプローチを取ることができる。
もし私がインザーギ監督だったら…
もし私がインザーギ監督だったら、ルカクとマルティネスをフォワードで起用するだろう。単純にルカクのスピードを活かすためだ。シティに隙があるとすれば、ディフェンスラインの裏だ。ベテランのジェコも、素晴らしい連係プレーと類まれな得点能力を持つ優れた選手だが、ルカクとマルティネスのスピードは、おそらくジェコよりも相手にとっての問題を引き起こせるだろう。
インテルのやるべきことを考えたときに、単にルカクのほうが適していると思う。だが、インテルの攻撃陣に課されるタスクは大きい。攻撃時のシティには見惚れてしまうが、守備陣にも、カイル・ウォーカー、ナタン・アケ、ルベン・ディアスといった、ディフェンスが大好きな選手たちがいる。そこに加わったハーランドが一番前に陣取るシティは、グアルディオラ就任以来、最高のチームになった。彼らこそが、グアルディオラ監督が長年にわたって渇望してきたトロフィーを勝ち取るチームなのだ。
翻訳:早坂卓真
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