リバプールの新監督がアルネ・スロットに決まった。ユルゲン・クロップの後を継ぎ、2024-2025シーズンからアンフィールドで指揮をとるのはオランダ人指揮官だ。
クロップがリバプールでのラストゲームを終えた翌日の5月20日、リバプールはフェイエノールトとの合意を正式発表した。45歳の指揮官は2024年7月1日からリバプールの新監督になる。
スロットは見事な成績を残してきた監督だ。フェイエノールトでは昨季優勝を飾り、今季のエールディビジでも2位となっている。4月にはKNVBカップで優勝した。
『スポーティングニュース』では、スロットの指導者キャリアの成績やリバプールにフィットするかをまとめる。
アルネ・スロットは良い監督なのか？
リバプールのリクルート部門がスロットに狙いをつけたのは、若いタレントを成長させる能力に実績があり、限られた予算の中で成功を収めてきて、ヨーロッパの舞台での経験があり、クロップのプレイスタイルに近いからだ。
フェイエノールトでのスロットは、高いインテンシティーのアプローチで知られ、タイトルも獲得してきた。2021年7月に就任し、フェイエノールトがファイナルサードで安定的にポゼッションを支配するスタイルを確立している。『Opta』によれば、今季のフェイエノールトは4月までのこのスタッツで欧州主要7リーグのトップだ。
また、ビハインドを背負った状況から獲得した勝ち点の数についても、フェイエノールトとリバプールは同じ期間で62ポイントを手にしている。
アルネ・スロットの獲得タイトルや戦績
最も直近で獲得したトロフィーは、4月のKNVBカップだ。2022-2023シーズンにはフェイエノールトでエールディビジも制した。
これまでの指導キャリアでスロットが獲得してきたタイトルは、この2つのみ。だがもちろん、リバプールではさらにトロフィーを増やしたいと望んでいるだろう。
個人としては、オランダの年間最優秀監督賞を2回受賞している。2021-2022シーズンにはUEFAヨーロッパカンファレンスリーグで決勝まで勝ち進んだ。この時はジョゼ・モウリーニョ率いるローマに敗れている。
2023-24シーズンのエールディビジでは、PSVに王座を明け渡したものの、フェイエノールトをUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得の2位に導いた。
フェイエノールト以前はAZで指揮をとり、1試合平均で勝ち点2.11を記録している。これはAZのクラブレコードとなる数字だ。
新型コロナウイルスのパンデミックによって2019-2020シーズンのエールディビジが打ち切りになっていなければ、スロットは素晴らしい成功を収めていたかもしれない。当時、彼が率いるAZは、エリク・テン・ハーフのアヤックスと勝ち点で並んでおり、得失点差で2位という位置につけていた。
アルネ・スロットの監督成績
| シーズン | クラブ | 試合 | 勝 | 負 | 分 | 勝率 |
| 2023/2024 | フェイエノールト | 150 | 98 | 23 | 29 | 65% |
| 2022/2023 | フェイエノールト | 48 | 32 | 6 | 10 | 66% |
| 2021/2022 | フェイエノールト | 53 | 33 | 10 | 10 | 62% |
| 2020/2021 | AZ | 16 | 7 | 7 | 2 | 44% |
| 2019/2020* | AZ | 42 | 25 | 8 | 9 | 60% |
*新型コロナウイルスのパンデミックでシーズン打ち切り
注：スロットは2016年にカンブールでヘンク・デ・ヨング退任後の共同暫定監督も務めた。
アルネ・スロットの戦術
スロットは高いインテンシティーの攻撃的なサッカーの支持者だ。守備ラインは高く、ボールを素早く前方に運ぶことを狙う。
それはもちろん、ボルシア・ドルトムントやリバプールにおけるクロップの「ヘビーメタルフットボール」と一致する。ただ、マンチェスター・シティと競うために多くの勝ち点を必要とすることが明らかになると、クロップはそのアプローチを調整した。
スロットが主に採用するシステムは、4-3-3と4-2-3-1だ。後者においては、ビルドアップの際、ダブルボランチがセンターバックの近くで動き、パスで相手のプレスをかわすことが珍しくない。
このアプローチはプレミアリーグでロベルト・デ・ゼルビのような監督も用いている。彼もリバプールの関心が報じられていた指揮官だ。サイドバックが自由に攻め上がって攻撃をサポートできる。トレント・アレクサンダー＝アーノルド、アンドリュー・ロバートソン、台頭してきたコナー・ブラッドリーにとっては、心地よい響きかもしれない。
非保持時に関しては、クロップに不可欠だったハイプレスが、スロットにとっても基礎となる。これまでの仕事ぶりやリバプールのスカッドの特徴から、スロットはうまくフィットするかもしれない。単なる「クロップ風」など、手厳しいレッテルを貼られた場合に、そうではないことを証明できるかはスロット次第だ。
フェイエノールトは歴史を誇るビッグクラブだが、オランダサッカー界において財政的に最も強力なクラブではない。そこでのスロットの仕事は、ドルトムントで圧倒的な存在のバイエルン・ミュンヘンと、リバプールでジョゼップ・グアルディオラ率いるシティと競ってきたクロップの仕事に似ている。
原文：Is Arne Slot a good coach? Career record, trophies won and clubs managed by new Liverpool boss（抄訳）
翻訳：坂東実藍
