NBAサマーリーグで採用されている延長戦の特別ルール

及川卓磨 Takuma Oikawa

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NBAサマーリーグの注目選手のひとり、ドラフト全体1位指名のパオロ・バンケロ(マジック)

ネバダ州ラスベガスで開催されているNBA 2K23サマーリーグでは、通常のNBAとは異なる特別なルールがいくつか採用されている。なかでも、ゲームに直接的な影響を及ぼす試合時間の短縮と延長戦のサドンデス決着ルールは注目だ。

NBAの全30チームが参加しているラスベガスでのサマーリーグは、各チームが5試合を戦う予定となっている。1試合の試合時間は10分 × 4クォーター制の合計40分。NBAの通常の試合時間である12分 × 4クォーター制(合計48分)よりも短く設定されている(「10分 × 4クォーター制」は国際バスケットボールと同じ試合時間)。

また、第4クォーターまで40分間を戦い終えた時点で両チームのスコアが同点だった場合は、オーバータイム(延長戦、OT)に突入する。通常は、NBAでも国際バスケットボールでも5分間の延長戦を勝負がつくまで行なうが、このサマーリーグでは1回の延長戦が2分間に設定されている。

そして、最初の延長戦(第1OT)で勝負がつかなかった場合、次に行われる第2OTではサドンデスルールが採用されている。つまり、第2OT開始後、最初に得点したチームがその瞬間に勝利となるのだ。

試合時間に関するラスベガス・サマーリーグの特別ルール

  • 各クォーター10分の4クォーター制(※通常は12分 × 4クォーター)
  • 延長戦は2分間(※通常は5分間)
  • 第2オーバータイムはサドンデス決着。先に得点したチームの勝利。ただし、チャンピオンシップゲームではサドンデスなしで2分間(※通常は勝負が着くまで延長戦を繰り返す)

サマーリーグで起きたサドンデス決着

大会2日目、7月9日(日本時間10日)にトーマス&マック・センターで行われたオーランド・マジック対サクラメント・キングスの一戦で、今大会初のサドンデス決着が見られた。

この試合の第4クォーター残り7.4秒、マジックは6点リード(87-81)していた。だが、そこからキングスがネミーアス・ケイタの3ポイントショットで3点差に迫る。すると、パオロ・バンケロ(2022年ドラフト全体1位指名)のインバウンドパスをキーガン・マレー(同4位指名)がスティールし、そのまま3Pショットを成功させ、残り0.2秒でキングスが同点に追いつく。この奇跡的な展開により、試合は延長戦に突入した。

第1OTの2分間では5-5のスコアで再び同点。そして迎えた第2OT開始から50秒、バンケロのアシストパスをエマニュエル・テリーがねじ込み、マジックのサドンデス勝利となった(最終スコア94-92)。

【動画】バンケロのパスをテリーが決めてサドンデス勝利|2022.7.9

また、10日(同11日)に同会場で行われたシャーロット・ホーネッツ対ロサンゼルス・レイカーズ戦も、第1OTを終えて同点という接戦になり、サドンデスルールが適用される第2OTへ突入した。

最後は第2OT開始30秒でタイション・アレクサンダーからのアシストパスを受けたJT・ソーが3Pショットを沈めて、ホーネッツがサドンデス勝利を飾っている(最終スコア89-86)。

【動画】JT・ソーの3ポイントでサドンデス勝利|2022.7.10

サマーリーグにおける試合時間の変更やサドンデス制の導入は、本来、少ないコートで多くの試合をこなすための運営面を考慮した措置と考えられる。だが、通常の時限制や、オールスターゲームで採用されているイーラム・エンディング制(最終目標スコアに先に達したほうのチームを勝利とするルール)とは別種の興奮をもたらす決着方法となっている。

NBA 2K23サマーリーグは、現地17日(同18日)まで開催。6月に行われたNBAドラフトで指名されたルーキーや若手注目選手たちのほか、ゴールデンステイト・ウォリアーズにはバスケットボール男子日本代表の馬場雄大も所属している。日本国内では全試合、NBA公式動画配信サービス『NBA Rakuten』でライブ及びオンデマンド配信が予定されている。

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及川卓磨 Takuma Oikawa

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スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。