バックスのヤニス・アデトクンボが2021年のNBAファイナルMVPに満場一致で選出

及川卓磨 Takuma Oikawa

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ミルウォーキー・バックスが50年ぶり2度目の優勝を飾ったNBAファイナル2021 第6戦(現地7月20日)の試合後、エースのヤニス・アデトクンボはキャリア初となるビル・ラッセルNBAファイナルMVPに選出された。アデトクンボは同賞の投票者であるメディア関係者11人全員から満場一致で選出され、この頂上決戦で最も価値のある選手であることを証明してみせた。

バックスが本拠地のファイサーブ・フォーラムで優勝を決めたフェニックス・サンズとの第6戦で、アデトクンボはプレイオフ自己最多かつ試合最多となる50得点をマークした。フィールドゴール25本中16本(3ポイントショット3本中1本成功)、フリースロー19本中17本を成功させたアデトクンボは、今ファイナル第2戦(現地7月8日)で自ら記録した42得点を上回り、プレイオフ自己最多得点記録を更新した。

【動画】ヤニス・アデトクンボ 50得点

第2戦で42得点、12リバウンドを記録したアデトクンボは、続く第3戦で41得点、13リバウンドをあげ、2000年のシャキール・オニール(ロサンゼルス・レイカーズ)以来史上2人目となるファイナルの2試合連続で40得点&10リバウンド超えをマークした。ファイナルの1シリーズ中3試合で40得点&10リバウンド以上をマークしたのも、同じく2000年のオニール以来史上2人目の快挙となった。

また、アデトクンボは第6戦で50得点、14リバウンド、5ブロックを記録したが、ファイナルの1試合で40点、10リバウンド、5ブロック以上を記録したのは、1973-74シーズンにブロックショットがリーグで公式に記録されるようになって以来初となる。アデトクンボは、得点だけでなく、その守備力でもサンズを大いに苦しめた。

今ファイナル6試合の1試合平均の成績(35.2得点、13.2リバウンド、5.0アシスト)は、2015年にレブロン・ジェームズ(当時クリーブランド・キャバリアーズ)が35.8得点、13.3リバウンド、8.8アシストを記録して以来、史上2人目の35点、10リバウンド、5アシスト超えとなった。

さらに、第2戦と第6戦の第3クォーターにアデトクンボはそれぞれ20得点を叩き出しているが、NBAファイナルの単一クォーターで20得点以上を複数回記録したのは、過去50シーズンで初となる。

2013年のNBAドラフトでバックスから1巡目15位で指名されたアデトクンボは、以来、8シーズンをバックス一筋で過ごしてきた。2017年からは5年連続でNBAオールスターに選出されており、2017年にMIP(最優秀躍進選手賞)を受賞すると、その2年後の2019年と続く2020年には2シーズン連続でレギュラーシーズンのMVPに選出された。2020年にはMVPと最優秀守備選手賞のダブル受賞も果たしている。

そして今季(2020-21シーズン)、3月のオールスターゲームでMVPに選ばれたアデトクンボは、その輝かしいキャリアで唯一欠けていた称号と言っていいNBA優勝とファイナルMVPのタイトルを手にした。

1994年12月にギリシャで生まれたアデトクンボは、これだけのタイトルを獲得してもなお26歳の若さだ。これから訪れるであろうアスリートとしての全盛期を含む残りのキャリアで、どれほどの栄冠を勝ち取り続けるのだろうか。

その輝ける未来は、誰にも想像できない。


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及川卓磨 Takuma Oikawa

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スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。