豪代表のジャック・ホワイトがチームでの役割や元チームメイト馬場雄大との対戦について語る

大西玲央 Reo Onishi

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オーストラリア代表はとても層が厚く、8月25日に開幕する『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』では優勝候補のひとつとしてあげられている。そんなタレント揃いのチームに、12番目最後の選手としてロスター入りを果たしたのがオクラホマシティ・サンダー所属のジャック・ホワイトだ。

ホワイトはNBAルーキーイヤーとなった2022-2023シーズン、デンバー・ナゲッツの2ウェイ契約選手として優勝を経験している。ルーキーでNBA優勝、そしてオーストラリア代表としてW杯に出場と、華々しいキャリアを送っているかのように感じるかもしれないが、実際はここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

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オーストラリア生まれのホワイトはオーストラリア国立スポーツ研究所でバスケットボールをプレイしたのち、2016年から4年間をデューク大学で過ごしている。ジェイソン・テイタムと同級生であり、3年生からはキャプテンを務め、ザイオン・ウィリアムソンやRJ・バレットが活躍するチームをまとめ上げた。

しかし、アメリカでの理想のNBAルートは大学で1年をプレイしてからNBAドラフトで指名されるものとされている。ホワイトはチームメイトが次から次へとNBA入りするのを見届けながら大学に4年間在籍した。

卒業後はNBAドラフトで指名されず、地元オーストラリアのNBLに所属するメルボルン・ユナイテッドと契約。躍動感溢れるプレイでリーグを席巻していたなか、アキレス腱断裂という大怪我で離脱を強いられた。

ユナイテッドでの2年目に復帰を果たし、シーズンをプレイ。そしてその夏にはナゲッツのサマーリーグに参加し、2ウェイ契約という形でようやくNBA入りを叶えた選手なのだ。

Jack White
(NBA Entertainment)

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W杯に向けてオーストラリア代表がロスターを絞り込んでいくなか、ホワイトは最終ロスターの当落線上にいた。オーストラリアのブライアン・ゴールジャン・ヘッドコーチはギリギリまで13人抱えていたことで国内から批判も受けていたが、結果的にそれが功を奏した形となった。

強化試合でセンターのジョック・ランデールが負傷離脱し、追加招集することなく自動的にホワイトが12人目として確定したのだ。8月20日に行われるフランス代表との国際試合の前日練習後、ホワイトがその胸中を語ってくれた。

自身の選出について彼は「これまでやってきたことをやるだけだ」と話した。

「チームに貢献できる自信はある。かなり層の厚いチームで、自分が当落線上にいると知った時は悔しかったけど、選ばれたからにはいつでも出られる準備をし続け、どんな形でも勝利に貢献していきたい」

201cmのホワイトは、身体能力が高く、中でも外でもプレイすることができる多様性ある選手。ランデールが抜けたことでオーストラリアはかなりサイズダウンを強いられるため、今後はスモールボール主体になることをゴールジャンHCも明言していた。ホワイトはその部分でもしっかりと貢献できるタイプの選手であり、本人もそれを理解している。「多様性、力強さ、身体能力、スモールボールに対してサイズをもたらすこともできる」と自身を分析した。

「リバウンドも自分が大きく貢献できる部分だと思っている。ジョックが不在となってしまったことで、リバウンド力とサイズはチームとして落ちた部分。そういった空いた穴をできる限り埋めて、チームを支えていきたい」

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ひと足早くジョシュ・ギディーとプレイ

Josh Giddey
(Reo Onishi)

このオフシーズンにサンダーと複数年契約を結んだホワイトは、NBAよりひと足先に才能溢れる若きガードのジョシュ・ギディーとチームメイトとしてプレイすることにもなった。2023-24シーズンにサンダーでチームメイトとなるギディーとのプレイについて、ホワイトは「最高だよ」と喜びを語っている。

「確実に良い位置で見つけてくれるから、常にボールが貰える準備をしておく必要がある。あんなに若いのに、すでにバスケットボールIQが抜群に高いんだ。まだ21歳にもなってないんだよ。今季一緒にプレイできるのはとても楽しみだね」

W杯では元チームメイトの馬場雄大と対戦へ

Jack White, Yudai Baba
(Getty Images)

ホワイトは日本代表の馬場雄大と同じ2020年にメルボルン・ユナイテッドに入団しており、同じルーキーとして切磋琢磨した仲だ。オーストラリアと日本は同グループということもあり、本戦ではライバル同士としてプレイすることとなる。

チームメイトとしての馬場はどんな選手だったのか聞くと「彼はとてもハードにプレイし、優れたディフェンダー。とても速いし、シュートもできる」と称賛。

「メルボルンでは我々のカルチャーにとても上手くフィットしていた。異文化に飛び込むという状況でありながらも、みんなに受け入れられていたね。そして日本のカルチャーなんかもたくさん紹介してくれたんだ。彼とプレイするのも、一緒にいるのもとても楽しい。ゲームへのアプローチの姿勢が素晴らしくて、理想的なプロフェッショナル。もう褒め始めると止まらないよ」

馬場との対戦について、ホワイトは「興奮してるよ。雄大のことは大好きなんだ」と嬉しそうに話してくた。

「彼は最高のチームメイトだった。今回は対戦することになるので、そういった感情は置いてこないといけないが、試合が終わればまた元通りだ。彼は素晴らしい選手だけど、それ以上に素晴らしい人なんだ。日本で彼と対戦できるのが楽しみだね」

オーストラリア代表と日本代表は8月29日、両チームにとってグループステージの3試合目に対戦する予定だ。かつてチームメイトだった2人が、世界の舞台で対戦し、さらに上のステージへと駆け上がる。

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。