圧倒的有利予想の井上尚弥、スティーブン・フルトンをどう攻略するのか|7.25 有明アリーナ

Andreas Hale

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井上尚弥が7月25日、有明アリーナでWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトンに挑戦し、4階級目の制覇を目指す。

世界のボクシングメディアや関係者、ブックメーカー各社のオッズからも井上優位が予想されているが、実際に井上は、名うての技巧派であるフルトンをどう攻略するのだろうか。名門誌『The Ring』や『Boxing Scene』など主要専門メディアでの執筆経験を持つ本誌シニア記者アンドレアス・ヘイルが分析する。

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技巧派フルトンも、井上のボディ攻撃の餌食か

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井上尚弥がスーパーバンタム級に階級を上げ、4階級目の世界王座を目指す。7月25日、東京の有明アリーナにおいて、WBC及びWBO同級王者のスティーブン・フルトンに挑戦するのだ。

フルトンは無敗の統一王者であり、井上より2歳若く、身長は4cm高く、そしてリーチは8cm長い。『ザ・モンスター』の異名をほしいままにしてきた井上だが、今回の試合はこれまでで最も手強い相手と対戦することになる。『Cool Boy Steph』(クールボーイ・ステフ)ことフルトンは、素早いパンチと堅い防御力を兼ね備えたテクニシャンである。21戦して未だに一度も判定でスコアを失ったことがない。

しかし、井上の経歴はさらにその上を行く。24試合で21KO勝ちを収め、もちろん一度も負けたことがない。7月25日には4階級世界王座獲得を実現できるだろうか。

その問いへの答えはイエスだ。その理由を説明しよう。

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フルトンは体格面では有利だが、過去のいくつかの試合で弱点を露呈してしまっている。井上はわずかなチャンスも見逃すことはないだろう。

フルトンの弱点のひとつは、時々リング上で足が止まり、対戦相手に距離を詰められ、ロープを背にするくせがあることだ。2021年11月のブランドン・フィゲロア戦ではそうした場面が多く、12ラウンドを通してかなりの数のボディパンチを被弾した。フルトンはなんとかフィゲロアに反撃し、観客を大いに沸かした打ち合いを制して、2-0判定で勝利を収めた。しかし、井上のような強力なボディパンチャーにその戦法は通用しないだろう。

 

井上のボディ攻撃は強力無比であり、極めて有効であることを、これまでのキャリアで何度も証明してきた。ときには狙いすました一発のパンチで対戦相手をキャンバスに沈め、あるいはボディパンチで対戦相手のガードを下げさせたあとで強烈なコンビネーションパンチを見舞う。井上の攻撃はしばしばボディへの攻撃を起点となっている。

井上はフルトンより身長が低いが、階級を上げるにつれてボクシングスキルは巧妙さが増してきた。なぜかフルトンは体格で劣る対戦相手に接近戦を許してしまうことがある。そうした戦い方を好むのかもしれないが、井上相手にそれを行うのは無謀である。

また、フルトンは打たれ強さに自信があるらしく、格下の相手にクリーンヒットを許したことがいくつかある。アダム・ロペスやイサック・アベラールなどはフルトンの防御を破り、パンチを当てた。この2人は井上のレベルにはるかに及ばないが、それでも攻撃の糸口を見出すことはできた。フルトンを倒すまでには至らなかったが、井上は彼らとは次元の異なるファイターだ。井上の完成されたボクシングにおいて、試合展開を決定的に変えるために必要なものはたった一発のパンチである。

フィゲロアはフルトンを何度も追い詰めたが、試合を終わらせることはできなかった。だが、井上はどこかでフルトンにダメージを与えたら、そのチャンスを見逃すとは思えない。

フルトンが抱える最大の問題は、井上に自身のアプローチへの迷いを抱かせるほどのパワーを持っていないということだ。21戦して8KOはあまりにも物足りない。フルトンはアグレッシブな攻撃をしかけてくる対戦相手を下がらせるだけのパンチ力があることを証明しなくてはいけない。井上は優秀なテクニシャンであると同時にノックアウト・アーチストでもある。まさに『ザ・モンスター』だ。そんな相手を怯ませるほどのパンチ力をフルトンに期待できるだろうか。

今までのところ、井上に戦略的アプローチの変更を余儀なくさせた対戦相手はひとりもいない。テクニシャンであっても、井上のテクニックはさらに上をいった。パワーに自信があっても、井上のパワーはそれ以上だった。井上は完璧なボクサーなのだ。現時点でパウンド・フォー・パウンド最強であると評価する声も多い。やはりフルトンは井上にとってはその地位をより強固にするための踏み台にすぎないだろう。

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原文:How Naoya Inoue can beat Stephen Fulton /Text by Andreas Hale
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮

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Andreas Hale is the senior editor for combat sports at The Sporting News. Formerly at DAZN, Hale has written for various combat sports outlets, including The Ring, Sherdog, Boxing Scene, FIGHT, Champions and others. He has been ringside for many of combat sports’ biggest events, which include Mayweather-Pacquiao, Mayweather-McGregor, Canelo-GGG, De La Hoya-Pacquiao, UFC 229, UFC 202 and UFC 196, among others. He also has spent nearly two decades in entertainment journalism as an editor for BET and HipHopDX while contributing to MTV, Billboard, The Grio, The Root, Revolt, The Source, The Grammys and a host of others. He also produced documentaries on Kendrick Lamar, Gennadiy Golovkin and Paul George for Jay-Z’s website Life+Times.