東海インターハイ2018を制した開志国際の富樫英樹コーチ「勝って奢らず、負けて腐らず」

三上太 Futoshi Mikami

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中学と高校で全国制覇を果たした富樫英樹コーチ

愛知県で開催された「平成30年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」(東海インターハイ2018)を、創部5年目にして初制覇した開志国際(新潟)。チームを率いる富樫英樹コーチは、B.LEAGUE 千葉ジェッツの富樫勇樹の父である。

富樫コーチは以前、新発田市立本丸中学(新潟)を率いており、富樫勇樹が3年生のときに新潟でおこなわれた「全国中学校バスケットボール大会」で優勝を果たしている。2010年のことなので、富樫コーチ自身からすれば8年ぶりの全国制覇ということになる。

「男子では中学と高校で全国制覇をした指導者はいないはずです(女子は桜花学園の井上眞一コーチが達成している)。だから、実は狙っていました」。

決勝戦終了後に富樫コーチは笑顔でそう語った。このカラリとした雰囲気が富樫コーチの特長と言っていい。選手たちにも常々「勝って奢らず、負けて腐らず」の選手になるよう伝えているというが、それは富樫コーチ自身の生き様でもあるのだろう。

むろん負ければ悔しい気持ちも持っている。「東海インターハイ2018」が3年ぶり2回目の出場というから、創部以来、新潟県内でも負けた数のほうが圧倒的に多いのだ。そのたびに悔しい思いをしながら、それでも腐らず、むしろそれを糧として選手たちとともに前を向き続けてきた。それが今夏の開花に結ばれたのである。

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「教えすぎない」をモットーに

本丸中学時代はかなり厳しいことで有名だった富樫コーチ。しかしその途中から「教えすぎない」ことをモットーに切り替えたことで、選手たちが自分の頭で考えるようになり、同時にチームも強くなっていった。

そのスタイルを高校でも踏襲している。もちろんすべてではないが、ときに2人体制のキャプテン、④小池文哉と⑤小栗瑛哉らが練習メニューを考えることもあるという。そうした選手たち自身の成長、自立がインターハイの決勝戦で中部大学第一(愛知)に追いつかれ、逆転されたあとも決して慌てることなく、開志国際のバスケットを貫くことができた要因でもある。

またインターハイの直前には勇樹が原修太ら、仲の良いB.LEAGUE選手たちを連れて、開志国際にやってきた。

「多くの強豪校はOBが多くいて、大会前に壮行試合や激励会などをやっているようですが、ウチはまだOBが少ないので、息子が気を利かせてくれたんだと思います」。

開志国際にしてみれば、そうした高いレベルでの経験も今回の全国制覇に大きくつながったといえる。

今大会の選手たちの出来を富樫コーチは「100点」と評価する。その一方で「でもこれで終わりではありません。やっとスタート地点に立ったところです。高校バスケットには強豪校がたくさんありますから、勝って終わりではありません」とすぐに気を引き締め直すことも忘れない。勝って奢らず、である。

インターハイは2度目の出場だが、決勝戦に進んだことで出場権を獲得した今冬のウインターカップは初めての出場となる。

「初出場・初優勝……人生、そんなにうまくはいかないですね。いいんです。インターハイで勝ったので十分です」。

陽気にそう語る富樫コーチだが、間違いなく冬の頂点も狙っているはずだ。

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