八村塁の欠場でSG・SFの競争も激化?個性をアピールしたい富永啓生、原修太を直撃|バスケ日本代表

荒大 Masaru Ara

八村塁の欠場でSG・SFの競争も激化?個性をアピールしたい富永啓生、原修太を直撃|バスケ日本代表 image

報道陣に囲まれた富永啓生

バスケットボール男子日本代表候補の選手たちは、6月25日(日)から東京でFIBAバスケットボールワールドカップ2023に向けた強化合宿を行なっているが、その期間中に、八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)のワールドカップ欠場が発表されるなど、周囲を取り巻く状況は刻々と変化している。ただ、日本代表にとっては、むしろチーム内の競争材料になったとみても良いのかもしれない。トム・ホーバス・ヘッドコーチが合宿中のメディア対応で話したように、渡邊雄太(ブルックリン・ネッツ)や馬場雄大など、身長の高さや体の強さを持った選手たちが、よりインサイドのポジションで起用されることも予想されるからだ。

同時に今年2月に行なわれたのアジア予選のWindow6に招集されていなかった富永啓生(ネブラスカ大学)や、Bリーグでベストディフェンダー賞を獲得するなど、飛躍のシーズンを送った原修太(千葉ジェッツ)なども、シューティングガード(SG)やスモールフォワード(SF)争いに本格的に顔を出す可能性は大きくなったと言っていいだろう。

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フィジカルを強化してきた富永は、シュート以外もアピールへ

富永は昨年7月のアジア予選Window3のオーストラリア戦で代表デビューを飾り、それ以来となる招集となった。富永はこの1年、大学での戦いに向けて体重の増量に励んできたという。

フィジカルの強化については、手応えを感じているという富永。その動機は、ネブラスカ大への加入当初の経験にあったという。

「体をぶつけられたときに跳ね返せるというところでもメリットを感じています。ネブラスカでの1年目に、なかなか自分が思うようなプレーができず、自分でもフィジカルが大事だと思っていました。強化し始めてから、プレーの幅はもっと広がりましたね」

広いシュートレンジからの3ポイントは、富永にとって代名詞となりつつある。だが、そうした肉体改造が及ぼしうるシュートタッチへの変化は、彼自身が日々シュート練習を続けていることもあって、あまり感じていないそうだ。

「(シュートタッチの変化は)自分ではあまり気付いていないところで…。例えば1か月ウエイトをしたあとに、初めてシュートを打ったのなら(感覚も)変わると思うんですけど、毎日シュート練習をしているので。(別の質問でシュート練習の本数について聞かれると)オフシーズンとかだったら、300本から500本成功するまで、(毎日)打っていますね」

富樫勇樹(千葉ジェッツ)や河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)の存在感が強いだけに、ポイントガードの選考はある程度固まっているようにも見えるが、彼ら以外でプレーを組み立てられるというオプションを見せられることも、代表選考のうえでは重要ポイントのひとつとなりうるはず。すでに、3ポイントシュートについてはある程度打つ自由を与えられていると話す富永だが、彼も「シュート以外」の売り込みが必要なことをよく理解しながら、代表へのアピールを続けているようだ。

「自分の役割として、まず3ポイントシュートってところがあって、そこはもちろんアピールしていかないとならないですけど、それにプラスして、ディフェンスだったり、プレーメイキングだったり。やっぱりそういうところでも、少しアピールできたら、また自分のプラスになるんじゃないかなと思っています。」

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久々招集の原修太「ワンプレーを必死に」

原にとっては、2021年にアジア予選Window1に向けて参加した代表合宿以来、久しぶりに巡ってきた代表のチャンスである。2022-23シーズンのBリーグでは、千葉ジェッツの東地区優勝、さらにはBリーグファイナル進出に貢献し、自身初となるBリーグベストファイブやベストディフェンダーに選出された。2021年以来となる代表合宿への参加となった原は、常連組との間にあるギャップの存在を隠さない。

「今はちょっと、覚えることがたくさんあるので、そこにアジャストをするというか。みんなはもう次の段階に行っているので、僕はスタートが遅れている分、もっともっと努力したいなと。みんなここに集まる選手はすばらしい人たちなので、僕は必死に食らいついていきたいところです」

Shuta Hara, a player of men's basketball national team of Japan
Masaru ARA

ホーバスHCは、原について尋ねられた際に、「ドイツのガード陣に、強い選手を当てた方が良いのかも。原はそういったディフェンスができるはず」と期待をうかがわせるコメントを残している。原自身も、自らのストロングポイントとしてディフェンスをアピールする一方、Bリーグでキャリアハイの1試合平均10.1得点をマークしたオフェンスについても言及する。

「まずは、1プレー、1プレーでディフェンスも、オフェンスも必死にやるだけかと思います。もちろんBリーグでも賞をいただいたので、ディフェンスに対してはプライドを持ってやっていますし、他の選手よりも自信を持って、『そこが武器だ』と言えるようにやっている。トムさんのバスケは、千葉ジェッツのジョン・パトリック・ヘッドコーチと似ているところがあって。積極的に打てるところは打って、シューターもたくさんいるので、体を使ったドライブだとか、そういったプレーを増やしていければ良いですね」

原のフィジカルの強さは、今シーズンの千葉ジェッツの大きなアクセントにもなった。それを考えれば、彼がインサイドに侵入することで相手ディフェンスの収縮を生み、他のシューターたちへのチャンスメイクにもなっていくはず。本人もそうした強みは重々理解しているようだった。

「他のSGやSFの選手よりは、ドライブやピック&ロールを使ったアタックというのは強みなので、そういったプレーを出していけば、評価してもらえるんじゃないかと感じています。チャイニーズ・タイペイ戦に出ることを目標にこの数日をがんばらなくてはいけないんですが、とはいえシーズン中に足を痛めてしまったので、コンディションを戻しつつやっているところです。徐々に無理なく状態を上げて、僕の強みを出せれば、トムさんにも評価されるんじゃないかと思っています」

原は「毎日、必死にやるだけ」とシンプルな言葉で取材を締めくくった。彼が輝きを放っていくことで、ホーバスHCに、少々ぜいたくな悩みを与えられるか。ライバルの数は非常に多いが、オンリーワンの魅力を引き出せれば、日本代表の強烈な武器となっていくことだろう。

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バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 静岡大会直前合宿参加メンバー

No. 氏名 英字氏名 位置 身長 体重 生年月日 所属
1 比江島慎 HIEJIMA, Makoto SG 191 88 1990.8.11 宇都宮ブレックス
2 永吉佑也 NAGAYOSHI, Yuya PF 198 115 1991.7.14 ライジングゼファー福岡
3 須田侑太郎 SUDA, Yutaro SG 190 87 1992.1.3 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
4 富樫勇樹 TOGASHI, Yuki PG 167 65 1993.7.30 千葉ジェッツ
5 原修太 HARA, Shuta SF 187 96 1993.12.17 千葉ジェッツ
6 ジョシュ・ホーキンソン HAWKINSON, Josh C/PF 208 106 1995.6.23 信州ブレイブウォリアーズ
7 馬場雄大 BABA, Yudai SG 195 90 1995.11.7 -
8 吉井裕鷹 YOSHII, Hirotaka SF 196 94 1998.6.4 アルバルク東京
9 川真田紘也 KAWAMATA, Koya C 204 110 1998.6.16 滋賀レイクス
10 テーブス海 TOEWS, Kai PG 188 85 1998.9.17 滋賀レイクス
11 渡邉飛勇 WATANABE, Hugh C 207 106 1998.12.23 琉球ゴールデンキングス
12 西田優大 NISHIDA, Yudai SG 190 90 1999.3.13 シーホース三河
13 井上宗一郎 INOUE, Soichiro PF 201 105 1999.5.7 サンロッカーズ渋谷
14 富永啓生 TOMINAGA, Keisei SG 188 80 2001.2.1 ネブラスカ大学
15 河村勇輝 KAWAMURA, Yuki PG 172 68 2001.5.2 横浜ビー・コルセアーズ
16 金近廉 KANECHIKA, Ren SF 196 84 2003.3.11 千葉ジェッツ
17 ジェイコブス晶 JACOBS, Akira SG 203 91 2004.4.13 NBAグローバルアカデミー

※No.=年齢順の番号(背番号にあらず)。

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バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 静岡大会 日本対チャイニーズ・タイペイ 日程・放送予定

第1戦:7月8日(土)15:00試合開始

  • テレビ地上波:日本テレビ系列
  • テレビBS/CS:なし
  • ネット:TVer、バスケットLIVE

第2戦:7月9日(日)14:00試合開始

  • テレビ地上波:テレビ朝日系列
  • テレビBS/CS:なし
  • ネット:TVer、バスケットLIVE

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荒大 Masaru Ara

荒大 Masaru Ara Photo

茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。